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尾崎塾
富田教室

[2011年4月9日]

義援金で命は帰ってこない

私はかねてから義援金については疑問を感じている。

どこかの有名人が100億円とか200億円とか。
近所のこどもが100円とか200円とか。
金額ではなく,気持ちが大事?

まあ,されることを止めはしないが,義援金を払った方に問いたい。

「そのお金で,何人の命が助かるのですか?」

もう,津波で流された人は帰ってこない。
生き返ったりしない。
苦しい避難生活で亡くなる方もおられるかもしれないが,義援金で飛躍的に死ぬ人が減るとは思えない。

そんなお金があったら,今後の防災に役立てるように使った方が良いというのが私の主張。

たとえば,大阪の人は市内に津波が来るなんて,この期に及んでもピンと来ていない。この大阪に10億円くれたら,たとえば大阪の地学教師が全力をあげてあちこちの市民や生徒に教育をする。その教育の成果としてどんどん安全な町ができ,逃げ遅れる者も減っていくのである。今被災地に何百億円使っても,人命は救えない。教育にその10分の1でもかけてやれば,将来の人命が何万人も救えるのである。お金の使い方としてはそっちの方が良いと考えているのだ。

現在困っている人を助けたいという気持ち。これはこれで美しいようにも見える。

本当にそうか?

東北地方の避難所生活もたいへんだろうが,食料もあるし生きていくのに困らない。そのうちもっと良くなる。

忘れていないと思うが,スマトラの津波では10万人亡くなっているのである。そして,その後の生活が今の東北地方よりもずーっと貧しく厳しい状態が続いているのではないか。昨年のハイチの地震では,死者が20万人とか30万人とか伝えられている。もっと厳しい,困っている人がいる。その人たちは無視して東北地方の人にだけ,さらにより良い生活のたしにしてもらう義援金を送ってどうするのかと思う。

東北の人は日本人だから?
結局,日本人は日本人しか助けない?

どうもTVでも「がんばろう日本!!」が多い。
国威発揚に誰かが利用しているのかも。

私にとってはどの国の誰であっても同じであって,東北の人とハイチの人の区別は全くない。世界で困っている人にいちいち義援金を送るほど無尽蔵にお金を持っていない。だったらやることは一つ。
地学の専門家として将来の災害で亡くなる人を減らせる方向に教育活動をする。これは日本だけではなく,世界に発信しないと意味がない。私の教え子がそういった活動を世界に広めていって欲しいと願って教育をしていく。




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