[2011年6月5日]
もうそんなに経ったのだ。
20年
1991年に雲仙普賢岳で火砕流による死者が出た。
火山学者とマスコミの人,消防団の人など43名が犠牲になった。
死者は避難勧告を無視して危険地域に入っていた人たちなので,自己責任というか自業自得的なところがあるのだが,マスコミの人などは上司の命令で現場にいた可能性がある。業務命令をした,あるいは無言で圧力をかけていたとすれば,それは殺人だ。
亡くなった火山学者は危険すぎるところまで行って撮影すると評判の無謀な学者だったようだ。実際,火砕流の恐ろしさを知っている他の学者は命を落としていない。
幸いなことに私の学んだ大学には後に火山学会の会長までされた超一流の火山学者=宇井忠英先生がおられた。
地質学ゼミで,おそらく日本の大学で最も火砕流について詳しく勉強させてもらえた。
それで,雲仙普賢岳で火砕流が発生したときに,マスコミ各社の火砕流に対する知識のなさに愕然とした覚えがある。
火砕流という言葉をマスコミも含めて「初耳」だったのだ。
もう少しマスコミというのは勉強をしている人間がいる集団かと思っていたが,自然科学系のことについてはまったく世間の素人の目線でしか語れないのだ。
報道の仕方によっては,もっと被害を少なくできただろう。ところが,マスコミ関係の人たちが多く犠牲になってしまうほど無知だったということだ。
これは4年後の神戸の震災につながっていく。
マスコミはこの時まで活断層という言葉を知らなかった。
さらに2011年,初耳ではないはずの「津波」で大勢の方が犠牲になった。
言葉だけ知っていてわかっているつもりでも,実際は何もわかっていなかったわけだ。
雲仙普賢岳の火砕流から20年経っても,日本の教育の中で地学教育が整備されてきた気配はない。
むしろ,軽視されている。
高校の科目で世界史を必修科目にする動きがあったが,地学教育こそ国民の生命と財産を守る最優先科目だと思う。
文科省は今回の津波を経験して検討すべきであろう。
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