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尾崎塾
富田教室

[2011年9月1日]

防災の日に考える

あのような震災のあった年の防災の日。

今一度防災について根本から考え直す必要がある。

今朝も教育委員会の9割が防災教育の見直しをすると書いてあった。
何かいいことのように思えるが,実はものすごい危険性を孕んでいることを指摘しておきたい。

まず,見直しをするといっても,単に扱う内容に津波を追加するだけというものが多いということ。
今まで津波の正しい認識をできていなかった委員が,津波の内容を追加したとしても,その内容がはたして適切なものかはなはだ疑わしい。

危険なのは,教育委員会は防災の専門機関ではないという点。
そんな素人が作った防災教育マニュアルの内容を防災の勉強をしたことのない教員が教える。

現場の教員も今回のことで津波に関しては少しは認識を深めたであろうが,まだまだ勉強不足だ。
したがって,教育委員会の作った指南書が間違っていてもそれを指摘できる教員は少ないだろう。

避難訓練もしかり。
今回の津波で,避難訓練どおりにやって津波に流された学校がいくつもある。
訓練などしない方がましだったといえる事例もあるのだ。

防災で最も大切なことは,人命を最優先にして被害を最小限にとどめるという視点。

教育委員会も含めて行政の視点は,被害が出たときに責任をとらなくてすむようにしたいという点。

これで人命が救えるとは思えない。

現場の教員もそうだ。
何かあったときに責任をとらなくてよいように日ごろから訓練しているのだ。
「ちゃんと教育委員会の指導のもと,避難訓練していました。」
「当日も訓練通りに誘導しましたが,想定外の状況だったので間に合いませんでした。」
「だから私たちに責任はありません。」

【やらない方がマシな避難訓練の例】
9月1日に決まって火災が発生する。
出火場所は10年連続で理科室。
生徒はベルが鳴りひびいても冷静。
すぐに教室に放送が入る。
すると教科担当の先生の指示で廊下に整列。
ちゃんと消灯する。
名簿順に整列。
盗難防止のために,教室にはちゃんと施錠する。
上の階のクラスから順次避難してグランドに出る。
グランドで担任が点呼して学年主任に伝える。
全クラス無事に避難したことを学年主任が校長に伝える。
校長はストップウォッチを手に,昨年より20秒時間が短縮していることを喜ぶ。
以上。

9月1日にマニュアル通りの避難訓練をするだけでは想定外の事態に対応できない。
どのような状況にも柔軟に対応できる心づもりを日ごろから養うのが防災教育というものだ。
そういう観点で防災教育をする学校が1つでも増えていくことを願うばかりだ。



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