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尾崎塾
富田教室

[2011年10月14日]

個別指導する塾と個別対応する塾

「あの先生,贔屓する」

これは学校の先生が最も恐れている言葉かもしれない。

これを恐れるがために全員に同じことを提供するという教育サービスをするのが学校というところになっている。

はたしてこれで良いのか。

贔屓される子はそれなりの理由がある。
教師にとっていい子なのだ。
子どもは先生に気に入られようとして,何が善で何が悪かを学習していくものだ。
それがなくなって,全員が先生の目を気にしなくてよい状態になっているのではないか。

良いことをしても褒められない,悪いことをしても怒られない。

これでは何のための学校かわからない。
学校はもっと教師の主観で運営しても良いことにすべきだ。
贔屓,大いに結構ではないか。
冒頭に書いたセリフを言う子どもは贔屓してもらえるように努力すべきなのだ。

実際はなかなか難しい。
学校で,あるクラスに配ったプリントを他のクラスで配らなかったら不公平だということで問題になる。
クラスによって授業の展開が違っていてもよいし,その方がそのクラスに合った指導になっていたりするのに。
試験の点数がその教材によって違ってくるかもしれない。
それがどうしたというのだ。
Aという教材でてっとり早く点数を取る指導をしたのと,Bという教材でじっくり基本を定着させるのを異なるクラスで同一試験の場合に比較してみるのも面白いではないか。
当然Aのクラスの方が平均点が高くなる。しかし,Aは本当に押さえておくべき基本があやふやな生徒が多いはずだ。そのクラスは試験後に実はあれはその場はしのげるが,こういう応用問題が出たら破綻するのだと,改めて指導すればよい。
逆に,点数が低いB教材のクラスは,試験後に実はこういう一見カンタンなやり方があると紹介してあげるとよい。
「それを早く言ってよ!」という反応があるはずだ。
でも,その方が印象に残るし,基本がしっかりできていて,試験をはさんで指導するからこそ本物の力に止揚されるのだ。
要するに,試験の後の指導でどちらもかなり学力をつけられるのでどちらでもよいのだ。
ちなみに,AかBかはクラスの雰囲気・生徒の気質を見抜くことによって使い分けるとよい。
とにかく点数が取れることに先に頭が行ってしまう生徒が多い場合,基本の充実の授業は退屈に思えて集中力が途切れてしまいがちだ。その場合,テンポよく点数に直結するような話を中心に授業するとどんどん吸収されていく。点数を取れると,その先生の指導に信頼感が出て,試験後の本当は大切な基本解説の部分も集中して聞くようになる。
ゆっくりと納得してからでないとなかなか行動に移せない生徒やスピードの遅いタイプの生徒が多いクラスでは,基本を充実させるB教材を中心に進めないと,せっかく点の取れるやり方を教えても身につかない。試験の時に苦労させて,基本がある程度できてきて慣れたころを見計らって他の方法を伝授すると,より理解が深まってさらに良い。

さて,最も大事なことは,先のA教材を後者のクラスに,B教材を前者のクラスに用いても成果があまり期待できない点だ。
クラスによってよりよい教材というものがあるのだ。
それを見抜いて提供できる教師が良い教師だともいえるが,実際の現場ではなかなかそんな「眼力」と「勇気」のある教師は発生しない。

そもそもだが,多くの教師はそこまで親切ではない。
極力教材研究に時間をかけたくない(楽だから)ので,どのクラスも同じ教材がいいのだ。
他のやり方が明らかに効果的であっても,自分のスタイルというのはよほどのことがない限り変えない。
指導要領が変わる年度などはおもしろい。
今までの教科書と教える順番が変わっているのに,教える順番を新しく組み替える先生が少ないのだ。組み替えると授業の内容も変えないといけない。だから,旧課程の順序で教える先生は結構多い。
さがせば10年前から同じ講義ノートという教師も,多く現存しているはず。


というわけで,個別指導の塾が流行る所以である。

しかし,個別指導を謳っている塾で,生徒に応じてどれだけ教材を変えられているかは不明だ。多くの塾では松竹梅の3種類くらいで,試験前は試験範囲を繰り返しさせているだけか質問を聞くくらいだろう。
生徒2人に大学生が1人ついているので個別指導というが,教材が生徒にフィットしていなかったり,試験前の今日やる内容としては適切でないものを与えていては意味がない。個別指導の中身は個別に本当に必要とされている内容を提供できているかが生命線だと思うのだ。そういう対応をちゃんとできる塾がそう多いとは思えない。

ウチの塾では,同じ中学の同じ学年で同じくらいの学力の生徒でも,特に試験前は演習教材を変えている。
1つは解くスピード。
これは日ごろから生徒の解く時間を見ているので,試験前の大切な時期に必要な演習を授業時間内に終えられるように設定している。
スピードの速い生徒にはいろんな類題を総復習させられるが,遅い生徒には必ず押さえておくべき内容だけ演習できるように与える。
次に,試験までの日数。
前日にやる教材と3日前の教材はおのずと違ってくる。
そういうことも考えて与えるようにしている。

このようにやっているので試験前の指導は,他の塾よりも数段マシだとは思っているが,まだまだ理想の50%もできるようになっていない。
もっと工夫して試験前の勉強が各自の能力を最大に引き出せる位になるようにしていきたい。
本当は試験前には毎日でも来て欲しいのだが,席が埋まっているので全員呼ぶとパンクしてしまう・・・
とりあえず考査前の日曜特訓にはぜひ参加していただきたいと思っている。





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