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尾崎塾
富田教室

[2011年10月22日]

理科が苦手だという前に

国際単位系の基準となるキログラムの定義を,現在の「原器」から他のものに変えるということが議決された。

メートルは真空中の光速度,秒はセシウム原子の振動数というように,再現性があって精度の高いものを基準にしてあるのに対し,原器だと不変性が怪しいわけで,新しい案が求められている。

はたしてどんな新定義になるのか。

そもそもの話。
1メートルは地球の全周の40000000分の1だった。
1秒は1日の24×60×60分の1だった。
1キログラムは水1リットルの質量だった。

たしかに,長さと時間はかなり定義が変わっているが,質量は水1リットルを原器に置き換えただけで,ほとんど進歩がないように見える。


ところで,理科が苦手だという多くの生徒は数量に関する感覚が非常に乏しい。

具体的には15cmくらいの長さの鉛筆を見せて何センチ?と聞くと20cmとか10cmとか言う。
10cm刻みに四捨五入して答えているのか,本当にそれくらいと思っているのかも不明。

体積になるともっとひどくなる。
そりゃそうだ。体積は長さの3乗に比例して誤差も拡大するから。
いろいろな容器を見せて1リットルの水がちょうど入りそうなのはどれかと聞くと,10リットルくらい入りそうなのを選ぶ子もいる。

そもそもリットルが何かを知らないし感覚もない子がほとんどなのだ。
1リットルは何立法センチメートルかという問題の正答率は非常に低い。
へたすると,1リットルは何ミリリットルかという問いに答えられない。

さて,質量もすごく苦手。
手に筆箱か何かをのせて何グラムか聞くと,100グラムとか1キログラムとか言う。
対数目盛で答えているのか本当にそれくらいに思っているのかも不明。

体積と質量がこれだけ無感覚であれば,当然の帰結として密度は最悪の理科用語となる。

岩石の密度を聞かれて0.3グラム毎立法センチメートルなどと平気で答える。
その岩石って・・・水に浮くの?

水1リットルの質量が1キログラムだというそもそもの話が全く身についていない。
現行の教育課程では比重という概念すら教えないようなのだ。
学校で教わらなくとも知っておいて欲しいし,比重が1よりも大きいか小さいかは感覚的に身に着けておいてもらいたい。

そういうところに理科が苦手な原因があると,単に計算ができるようになったところで一向に面白くない。
出した答えを自分の感覚に照らし合わすことが理科の醍醐味と言っても過言ではないのだ。
特に小中学生の間にいろんな経験を通じて基本的な数量感覚を身に着けることが大切。
野暮なことを言うようだが,ゲーム機で遊んでいてはそういう感覚が身につかないと思う。こどもは外で実際のモノに触れて遊ぶべきなのだ。





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