[2011年10月26日]
方位磁石は北を指す。
まあ,間違いではないが,正確な北(真北)は地球の自転軸が地表と交わる点であり,北極点のことである。
一方,方位磁石の向きはその地点での磁場の向きである。
地球を1つの棒磁石にたとえると,その棒の向きが自転軸と完全に一致していれば方位磁石が真北を指すかもしれない。
実際は棒磁石は自転軸と11°も傾いていて,地磁気北極はグリーンランドのあたりにある。
だから,日本で方位磁石が指す向きは真北にはならず,西へ7°前後ずれた向きだ。
このずれ角を偏角という。
その棒磁石は,おそらくは地下2900kmの鉄でできた核によって生じているので,方位磁石の指す向きは水平方向の北ではなく,地面の中に向かう成分(伏角)を持つ。
その伏角たるや,50°くらいになっているので,水平どころか,下向きの成分の方が強いくらいなのだ。
それでこういう工夫をする。
方位磁石をNS均等なバランスでつくると,N極が下を向くのでS極側が上がってしまい,ケースの上面のガラスなどにぶつかってしまう。だからS極側が重くなるようにつくってある。
それで,さっきの地磁気北極に磁石を持っていったら,鉛直に磁場が向き,方位磁石が鉛直に立つみたいなことを言う人がいるが,これはウソになる。
NSの重さのバランスとかいう問題ではなく,実際は棒磁石のようなものが埋まっているのではないからだ。
全地球の磁場を平均すると,地中に棒磁石があるのと近似できるというだけで,地球上には磁場の向きが鉛直になる場所が別にある。
こんなことは小中学生には難しいので高校の地学で学ぶことになる。
日常生活的には偏角の存在くらいは知っておいた方がいいかもしれないが,都会では電車の電流やビルの影響などで,結構磁場が乱れたりしているので,意味がないかもしれない。
さて,ちなみに今日書いた内容にもウソがある。
たぶんスルーされたと思うが・・・
授業で生徒に説明するときにもウソとわかっていながらそう説明している。
ウソも方便なのだ。
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