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尾崎塾
富田教室

[2011年11月5日]

本当に集中するということ2

伊藤君も読んでくれているようなので,テニスの例。

テニスの試合では観客は静かにすることを義務付けられている。
プレー中はもちろんだが,基本的にはコートチェンジのタイミング以外は立ち歩くことも禁止。
観衆がざわざわしていると審判が「プリーズ」と静粛を促してくれる。
選手がサーブを打つタイミングで,サーバーの目に入る位置の人がチョロチョロ動くと目障りなのでサーバーが打つのをやめたりする。
まあ,こんな感じだ。

この様子,私には「集中力のない選手だな」と見える。
個別ブースのような学習環境を求める生徒のようだ。
無菌室で免疫のない人みたいだ。

プロ野球はどうだ?
ピッチャーが投げるタイミングで大観衆が叫んでいたり,バッターに野次が飛んでいたりする。
中にはひどい野次も昔はあって,実際にプレーに影響した場合もあるだろうが,通常はそういう観衆の雰囲気も含めて野球なのだ。
よく大試合に強い選手とかいうが,それは観衆の雰囲気に呑まれず,むしろその雰囲気をパワーに変えられる人だろう。

実際にはピッチャーは投げることに集中している。一流ピッチャーの場合の集中はキャチャーミットだけを注目しているのではない。周囲の状況を極めて鋭敏に察知する極限状態で投げているのだ。つまり,ランナーがいたらそのリードの様子,バッターの目つきや体の位置,雰囲気,あるいは天候,風向き,ベンチの動きなどあらゆる外的な環境に意識を向けており,必要な情報を集めているわけだ。
で,前に書いたように観衆の野次などはプレーには必要な情報ではないので全く気にならない。ただし,自分を応援してくれている雰囲気だけはしっかり感じ取ってそれをパワーに変えている。

江夏の21球が好例だ。

サッカーの観衆もゴール裏で騒いでいるが,選手がそれによって気を散らすようなことはない。
あったとしたらそれはショボい選手だろう。

本物の集中力を身に着けた者だけがプロスポーツでは活躍できるのだ。

そういえばゴルフもダメ。
打つ時に静かにしないと怒られる。
英国貴族の伝統から来ているのだろうから仕方ないが,テニス界とゴルフ界のあの静粛強要はスポーツの中では異質なのである。

つづく




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昔,阪急VS南海で飛んでた野次
「おーい,香川
 おまえ日ハムにトレードやで〜
 選手としてとちゃうで〜
 商品としてやで〜」