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尾崎塾
富田教室

[2011年12月19日]

活断層の真上にある学校が多い話

広島大の中田高名誉教授と岡山大のグループによると全国の学校のうち225校は活断層の真上に立っている可能性があるそうな。
中田さんは校舎の使用制限を含めた対策の検討を求めているそうな。

多いように思うが,これは地質的に当然のことなのである。
つまり,山間部に学校を造るには造成しやすいところを選ぶ。
広い範囲で土地をなるべく平らにしたいから。
活断層の近くは断層の動きによって地盤の岩石が破砕されていて造成しやすいのだ。
平野部で学校を造るには,すでに住宅地になっているところはややこしい。
農地もややこしい。
そこで大抵の場合に好適地とされるのが大きめの池。
池というのは人間がせっせと窪地を掘ってできるのではない。
何らかの原因でもともと水がたまりやすい地形なのだ。
その何らかの原因は?
そう,断層運動で下流が盛り上がるなどして水が貯えられる地形になったりする。
山間部と同様,断層沿いは地盤も柔らかくて削れやすいし。
なので,断層沿いに池が連なっていることは非常に多い。
その池を埋め立てて造った学校は,そのまま断層の真上にある。
平野部で地形を変える断層は比較的最近の断層運動だから活断層なのである。

さらに悪いことに,もともと池であった場所は軟弱な地盤であるから,地震の揺れが大きい。
だからそういう場所に建てた学校は地震で被害を受けやすい。
よく学校を避難所に指定してあるが,おそらく避難所として機能しない学校も出てくるのではないか。

自分の住んでいる地域の学校が,もともとどんな土地であったかはすぐにわかる。
明治時代の古地図を見ればいい。
自分の家もどうだったかわかる。
ちなみに私の住んでいるところはもともと池でした(*^^)v
だから家を建て替えるときにかなり深くまで地盤改良してもらった。

まあ,日本中どこでも安全な場所は皆無と言って過言ではない。
ある程度,利便性とのかねあいで妥協するしかない。
学校もそうで,今回活断層の真上だと指摘されたところをすべて移転させては莫大な費用がかかる。
震災の時に避難所として使えない可能性があると認識し,耐震補強をより念入りにしておくくらいで良いのではないか。

以前,和歌山に近畿大学が校舎を建てる時にちょうど活断層が見つかった。
当初の計画だと建物の直下に断層がくるので,計画を変更して断層の真上には建物がこないようにしたということがある。
真上でなければ倒壊ということにはなかなかならない。
そういった方法でうまく土地利用するしかない。

新幹線の新神戸駅は,なんと活断層の真上にある!
ここも工事中に活断層がモロに出現した。
どうする?
ここは駅をずらして建てるスペースが全くなかった。
そこで,この駅は断層が動いても倒壊しないように建物がうまく回転するように設計してある。

日本という国は至る所に活断層がある。
いちいち避けていては何も建てられないのである。



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