[2012年1月16日]
第1問
問1:地球の核の主成分は鉄です。これは隕石の成分から推定されている。
内核が固体で外核が液体なのは内核の融点が高いから。融点という言葉を知っていたら誰でもできる。ほぼ100%の正答率だったのでは?
問2:アセノスフェアはマントル上部の流動性の高い部分だが,地殻とマントルの境界部にあるのではない。地殻とマントルの最上部を合わせた約100kmほどの固い部分をリソスフェアといい,その下にアセノスフェアがある。リソスフェアがいくつかのプレートに分かれていて地球表面を覆っている。だから?が誤文。
?を正しいと判断した受験生は多いと思うが,実際は正しく理解できていないはず。つまり,地殻のすぐ下のマントルに地殻が浮いているというのが受験生の持つアイソスタシーのイメージだろう。しかし,実際にスカンジナビア半島などの隆起に関与しているのは,上記の?にあるようにもっと下の方のアセノスフェアの流動なのである。だから,今まで勉強してきたアイソスタシーの練習問題はほとんど事実に反することだったのだ。しかし,そのアセノスフェア=マントルの一部の流動を伴っているのであるから?は間違いなく正文である。だから,?を実際とは異なる認識で地殻の直下のマントルが流動するイメージを持っている受験生は?を正文としてしまうことになる。そこで?と?を見ると,どちらも正しそうである。さあ困った・・・
問3:地球内部で核融合反応は生じない。太陽の中心部での核融合反応と混同する人はいないだろう。bの放射性元素の崩壊熱が主役でOK。酸化反応の熱は初めて聞いた。もしもそうならその酸素はどこから供給されるのか?地下ではいろいろな化学反応が行われており,その反応熱は絶えず発生しているから,その一環として酸化による熱もあるかもしれない。さて,地球が形成された頃に蓄えた熱をまだ持っているという話。それを信じるかどうかで。もしもbの放射性崩壊の熱がなければとっくの昔に地球は冷め切っているのかもしれない。ずーっと暖められているから当初の熱を蓄えているように見えるだけではないのか。たとえば,はじめに1000万円持っている人がいた。毎年500万円稼いで消費も500万円だとする。10年経っても20年経ってもはじめの1000万円は減らないで残っているという理屈。もしも毎年の500万円がなかったとすると,その人のお金は2年ですっかりなくなってしまう。そう考えると,その人の収入源は毎年稼いでいる500万円だということになる。だから,地球の熱の起源として46億年前の熱をまだ持っているというのはいかがなものか・・・
問4:これは物理の屈折の法則であり,同じセンター物理の第1問の問4を参照のこと。地球内部の地震波がどう屈折するかの図を教科書でよく確認しておけば曲がる向きはその図の通りなのである。教科書の図が試験に出ると思って,全ての図を暗記するくらいで試験にのぞめばよい。
問5:これは地震波の初動の向きから震源を推定する問題。過去にも出題されているので,過去問をしっかりやっておけば大丈夫。空間把握力が必要だが,問題に図が載っているので親切である。
問6:大森公式の問題。S波の到達時間とP波の到達時間の差が2秒であるから,震源距離をdとして,d÷3−d÷5=2 解いてd=15km
中学生でもできるが,選択肢に疑問が残る。このような議論では15kmと14kmと16kmはほとんど全く同じものだという認識が出題者になかったのか?非常に違和感のある選択肢=まさかの1km刻み!
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