[2012年4月18日]
全国学力テストでこういう問題があった。
スキージャンプ,船木と原田,どっちが遠くへ飛ぶ?
中3の数学Bの問題。
ヒストグラムが与えられている。
我々の世代は二人の活躍をよく知っているので,面白い問題だと思う。
ヒストグラムを見ると,原田選手の方は「世紀の失敗ジャンプ」で有名になったように,ときどき大失速することがある。一方,船木は安定して高いレベルのジャンプをする。しかし,原田は140m級のジャンプをすることがたまにあって,それは船木にはないというもの。
それで,次に飛んだとしたらどちらがより遠くへ飛ぶかを答えるのに,論理的に答えられたらどちらを選んでもよいという設定なのだ。
解答例が示されているのだが,それが原田選手の方を例にあげている。
実際に最も遠くへ飛んだことがあるのが原田選手だからという理由で。
ちょっと待ったと言いたい。
これは論理的というのだろうか?
アホな先生が作った問題だとしても,それを周囲の人が止めなかったのか?
宝くじを買うとしよう。
1等1億円,で100万枚に1枚当たるクジを買う原田くん。
1等100万円で100枚に1枚当たるクジを買う船木くん。
次に1枚買ったときに多くお金を持っているのは誰だという問いに原田くんだと答えていいのか?
いや,しかし原田くんは過去に当たったことがあるんだとか?
そんなことではなく,確率の問題でしょう。
中学では習わないにしても期待値の問題なのである。
実際,今回の学力テストで期待値を計算すると原田選手は112mであるのに対し,船木選手は118mとなる。
こういうのは数学的には船木選手であると答えるのが正解だ。
それを,当たればデカいという数学的でない感覚的なことに引っ張られてしまうような解答を模範解答として載せている時点で日本の教育の将来がたいへん不安になるのである。
それを「数学は答えが1つであるという常識をくつがえす良問」のように報道するアホな記者がたくさんいるからどうしようもない。
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