[2012年6月23日]
今日はどのテニス指南書にも書いていない衝撃の事実を教えよう。
多くの指導者がそれをさせているし,多くのプレーヤーがやっていると思う。
“スプリットステップ”について。
相手が打つタイミングを計って小さくジャンプして着地した時にその反動でスタートを切る技術だ。
実はこのスプリットステップは必要ない無駄な動きなのだ。
というより,上級者になればむしろ上手な相手にタイミングをはずさせるスキを与えていることに気付かないといけない。
考えてみればわかる。相手がスプリットステップしているのがわかったら,大切なポイントでのショットは少し違うタイミングで打ってやればいいのだ。相手はいつもと同じタイミングで来ると思っているから,打たれた瞬間に自分の足が空中にあってスタートを切れないみたいなことになる。
野球で言うとチェンジアップみたいなもの。タイミングをはずされたら負けなのだ。
だからスプリットステップは全くナンセンスなのである。
なのに多くのプロテニスプレーヤーが昔からスプリットステップ愛好家なのでこの技術の流行は衰える兆しがない。
昔から言われていることを何も考えずに伝承しているだけでは進歩がない。
そういう意味ではソフトテニスの方が考え抜かれた技術が多いような気もする。
ソフトテニスでスプリットステップをしている選手はあまりいないのだ。
理由は先に述べた。みすみす相手にタイミングをはずす機会を与えてしまうわけで,そんなことはこわくてできないのだ。裏をかえせば,スプリットステップなんかしなくても十分に早いスタートを切れるからやらないのだ。
ソフトテニスの前衛の動きはすばやい。後衛の技術で述べたように,後衛は前衛が動くかどうかギリギリまで見ている。なのに,そのわずか100分の1秒くらいのタイミングを見計らって鋭いポーチに出られるのだ。
よく観察するとスタートを切る時の足の動きが全く違うのだ。スプリットステップをしてたとえば右へ移動するときを考えてみよう。着地して両足にしっかりと体重が乗る。そして,右足を浮かしぎみにして左足に乗った体重の反動を使って,左足で右へ蹴って移動をはじめるわけだ。しっかりと左足に体重が乗っている分,しっかりとスタートしている感覚があるので皆だまされている。
最速のスタートの仕方はこうだ。
まず,しっかりと腰を据えて左右均等に体重をかけて構える。
相手が打つまで両足は常に地面に着いているのでどのタイミングで打たれても動きはじめられる点がスプリットステップと違う点だ。
それで相手がボールを打って,右に移動すると判断したら,そのまま右足のひざの力をスッと抜くのである。すると右足で支えていた体重を支持するものがなくなるわけ。つっかえ棒をはずす感覚と言ってもいい。体はどうなるかというと右へ傾く。その傾く勢いに乗ってゆるめた右足を20cmほど右へスッとずらして地面にセットする。体はどんどん右へ傾きつつ,そのずらした右足にぐーんと体重が乗ってくる。この間,右ひざを緩めてからコンマ何秒かしかかからない。その右足で地面を蹴って右へスタートを切るのが最速なのだ。
言葉で書いてもわかりにくい?
でも,何度も読み返してマスターして欲しい。ボレーの届く距離がメートル単位で伸びるから。テニスは足ニスとかよく言うが,ボレーこそ足の使い方で成否が決まると言って過言ではない。スタートの切り方ひとつでも届くか届かないか全然違ってくるのだ。
この動き,実はある人が普通にやっているのをTVで見た。
甲野善紀さん。
古武術の研究家で有名な人。
知らない?
桑田真澄が怪我から復活して再びタイトル取ったのに一役買っている人だ。
それで甲野さんと直接メールでテニスの動きについてやりとりしたことがある。甲野さんもテニスについての私の考えが全く正しいと理解して下さった。
甲野さんによると先に書いたようにひざを抜いてスタートを切るのが最も速く動けるのだ。
この甲野さんがたとえばバスケットボールの選手とかラグビーの選手などの間をスルスルッと駆け抜けていくと,その選手たちは一様に狐につままれたようにビックリする。人間のイメージする感覚よりも速いので,対応する人は相手が「消えた」と思うようなのである。そういう体の使い方というものがあるのだ。
古武術というのは今の剣道などとは違って,本気も本気。失敗イコール死なのである。
だから,気配を消してすばやく動くということが研究されつくしてあるのだ。
つまり,動く気配があれば相手はその準備をすることができるし,目で追うことができる。
ところが思ってもいないタイミングで思ってもいないスピードで動かれると「消える」のである。そういうスタートが切れるのが先ほど書いた最速の方法なのだ。
スプリットステップは「はい,今からスタート切りますよー」と相手に切って下さい,殺して下さいと言っているようなものなのだ。しかも遅い。
ボクシングのパンチなんかも同じだと思う。「今から殴りまーす」といって力をこめて殴ってもかわされるだけ。ノックアウトされたボクサーは全員こう言う=「パンチが見えなかった」
どうでしょうか。明日からスプリットステップをやめて,文字通り新たなスタートを切りませんか?
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