[2012年6月29日]
夏休みに各大学や高校で受験生対象にオープンキャンパスなるものが横行している。
まあ,やるのは勝手だが,それに振り回される人が多いのも事実だ。
実は何のためにやるのかが意味不明の催しなのだ。
受験校選びのため?
それなら行く必要はない。というか,選ぶためには多くのオープンキャンパスに行って比較検討せねばなるまい。
まず,5校くらいは比較すべきだろう。しかし,10校も20校も見に行ったら,その分を受験勉強にあてれば相当な量になる。1日であってもかなりの演習ができるのに。見に行けば行くほど勉強時間を削っている点に気付かねばならない。そうまでして受験校選びのために必要なイベントなのか。秋には別途,入試説明会があったりするし,入試の情報は別のところでも得られる。
そもそも,大切な将来を託す学校をたった1日だけの見学で決められるものなのだろうか。教育内容をすべてその一日に集約できるのだろうか。実際はオープンキャンパス担当の職員の力量によって受験生に与える印象に差が出る。うまい演出で受験生を集めることができるかもしれない一方で,本当はいい学校なのにそれをうまく伝えきれずに終わるかもしれない。そういうのはパッと見に行った受験生にはわからないので,極悪とは言わないまでもたいした内容でもない学校のオープンキャンパスに行って,「この学校気に入った!」となる受験生も多いのだ。最悪なのは,本当はもっと上のランクのその受験生にとって良い学校に行く学力があるのに,下のランクのあまり勉強しなくても行ける学校に魅力を感じてしまうパターンだ。中味のない学校ほど,生徒集めに一生懸命だからオープンキャンパスで気に入ってもらおうと頑張る。だから,たいていの生徒は見に行った学校にとても魅力を感じて帰ってくる。
親から見て行って欲しくない学校のオープンキャンパスに行かせるとどうなるか。家に帰ってきて「母さん,僕行くとこ決めたよ!」などと言われて,そこから憂鬱な日々がはじまるのだ。
これは生徒にとっても最悪のことなのだ。本来はもっと上位のところを目指して学力がどんどんつくはずが,すでに合格圏内の学校に行くと決めたら勉強するはずがない。こういうのが人類にとっての損失なのだ。各自,最大限に能力を伸ばすことが明るい未来につながるのに。
だいたい5校くらい見に行くつもりでいた受験生が,はじめの1,2校(しかも下位校!)で決めてしまう可能性が高い。
見に行く → 気に入る → 受験すると決める → 偏差値を見る → すでに合格圏 → もう勉強しなくていい → ますます魅力的!! → 次に見に行くオープンキャンパス(上位校)をキャンセル → キャンセルした日は遊びに行く!
ホント,最悪ですね。
本当に受験校を自分の目で見て選ぶのなら,平日の実際に授業が行われている日に見学に行くことだ。それしかない。オープンキャンパスの日はかなり「お化粧」した状態だ。本当の実態を見ると自分に合っているかどうかわかる。平日に学校をさぼってでも行く価値があると思う。平日でなくても普段の土曜日でもいい。大学なら,直接興味のある研究室にアポをとっておいて見学させてもらう手もある。基本的に,事務相手に見学を申し込んでもパンフレットに書いてあるようなことしかわからない。実際に大学の教授や研究室の学生からもらう情報が真実に近いはずだ。高校でも個人的に見学させてもらう手もある。あるいは文化祭や体育祭の時は一般に公開しているので見に行くチャンスだ。実際の生徒の様子がよくわかる。かくいう私自身も中学の時に高校を選ぶ参考になったのが体育祭だ。茨木高校と千里高校の体育祭を見たのだが,まるっきり印象が違った。絶対にこっちがいいと思ったものだ。
というわけで,大学も高校もオープンキャンパスは学校選びという観点では全く参考にならない。むしろ他の日の方がいいということ。しかも,見に行けばその日数分の受験勉強時間が減るのだ。意味のないイベントに時間を費やして,上位の学校に行くための学力をつける機会を損失しているのである。やめといた方がいい。
例外というか,スポーツ推薦とか指定校推薦を考えていて,すでに受験校を決定している場合はオープンキャンパスも行く方がよい。推薦書などにそういう参加の事実を書けるので,そこが本当に第一志望なのだと言いやすい。面接などでも話のネタにできる。受験を決めている学校の場合のみ参加すると少しは意味がある。
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