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尾崎塾
富田教室

[2012年8月28日]

未来予想図2

202X年,大阪府立△◆□高校において。

「だって,そうするしかないでしょう!」
かつては数学オリンピックの生徒も指導していた数学科の三上先生は告白した。
「でも,あんまりじゃないですか。本当に絶対値も三角比も教えなかったんですか。」
教頭の小川はあきれてしまった。
「保護者からの密告は本当だったのですね。」
三上は黙ってうなずいた。
「全部あのアンケートのせいなんだ。」

前年度まで,三上の授業は完璧だった。
数学の苦手な生徒にもなんとか二次関数,絶対値の概念,三角関数やベクトルがわかるように日夜工夫していた。

「三上先生ねえ。熱心な授業もほどほどにしてもらえませんか?我々の授業が何か熱心でないように見えかねませんからねえ。もっと普通にやって下さいよ。」
同僚の数学教師=山崎の話はその時は気にならなかった。

しかし,生徒のアンケート内容を知り,三上は愕然とした。
【前年の三上先生のアンケート結果】
非常に満足0% 満足3% 不満58% 非常に不満24% その他15%

不満+非常に不満が50%を越え,非常に不満が20%を越えると,減給10%。
これが3年間続くと普通科高校での教員から配置転換が必至。

「私には妻も子供もいて,これ以上給料が減るとローンも返済できません。同じ学年を教えていた山崎先生のアンケート結果を見て決心してしまいました。もう難しい内容を工夫して教えるのはやめようと。」
三上は肩をふるわせて言った。
「だって,そうするしかないでしょう!山崎先生のアンケート結果って非常に満足が62%,満足が31%ですよ。高校で学ぶ新しい内容は言葉だけふれて,誰でも解ける簡単な問題しか扱わず,半分以上雑談している授業がですよ。それで生徒にお菓子を配って満足するって書いてもらってるんですよ。」


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