[2012年10月24日]
某有名進学校の国語教師が書いたブログに面白い理論?が書いてあった。
「国語力飽和析出理論」
国語力がつかないと嘆いている人も,「ああ,そういうことか」と納得できそうな話。
要するに,学校の国語の授業は飽和量に達していない生徒にひたすら溶質を与えているのである。
飽和に達しないうちはいくら与えても溶けているので「見えない」。
つまり学力がついた実感がない。
ところが,ある時期になると飽和に達するので,結晶が析出してくる。
これは「見える」。
この析出量が学力テストで測られたり実感できる何かだったりするというのだ。
これは先日書いた塾や予備校がズルい話と重なる。
学校の先生がひたすら溶質を与えて飽和に近づけてくれていたわけで,それを塾や予備校は析出させているだけなのだ。
しかも,溶質を増やさなくても析出させる方法だけ教えているみたいな。
つまり,温度を下げれば析出するので,そういう授業をしてあげたら今まで本人が気づかなかった学力が急についた気になる。
「さすが予備校の先生!」「神!」みたいに崇められる。
しかし,実際には誰にでも析出させられるわけではなく,それなりに技術が必要なことも確かである。
さらにハイレベルになるには,逆に温度を上げて,溶質も増やさないと太刀打ちできないのであるから,結局はそういう飽和曲線がしっかり頭に入っているかどうかが教える側の力量を決めているのかもしれない。
ちなみに,写真は空気に溶ける水蒸気の話。
中学理科の教科書(啓林館)だ。
空気中の水蒸気が溶けきれなくなると水滴になる。
これが雲だという話。
ところが実際の気象学の現場ではこんなに単純にはいかない。
気象予報士試験の勉強を始めてから最初にびっくりしたのがこの露点の話だ。
実際の大気中では露点よりも3℃高いところから雲ができるらしい。
中学生はみんな「ウソ」を教えられていたのか!
まあ,それを言いだすと混乱するわけで,発達段階を考えたら露点で雲ができるとしておくのが無難なのだろう。
でも実際は3℃高いところに雲ができる。
さらに,一般に雲ができるのは断熱膨張による気温低下が原因である。
この場合,気圧が減少するので飽和水蒸気量は減少するのだ。
だから,中学の教科書のようにある水蒸気量の点を真横に見て行って,曲線よりも上にある部分が水滴になったという凝結量の読図は正確ではない。
そういったことも考慮してどの高さで雲ができそうか,大気が安定か不安定かを読み取る便利な図がある。
エマグラムだ。
この図にはあらかじめ断熱変化での気温減率や上空での気圧に対応した露点が記されている。
この図を使いこなすことができたら気象予報士試験合格も近い。
さて,というわけで,優れた国語教師ならエマグラムの国語バージョンを作成できるはずだ。
しかし,天気予報の適中率よりもかなり低くなりそうな予感。
これも先日書いたが,特に現代文は模試と本番の相関が低い。
何か別の要素を考えないと,単純に飽和理論では片付かないのかもしれない。
理論のさらなる進化・深化を期待する。
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