[2012年11月5日]
関西電力大飯原発(福井県)の敷地内の断層が活断層ではないかとの指摘が出ている問題で、原子力規制委員会は4日、外部の専門家を交えた現地調査の結果を検討する評価会合を開いた。12万〜13万年前以降に地層が動いた痕跡があり、活断層の可能性が否定できないとした。ただ、別の原因を指摘する意見もあり、結論は出なかった。7日に会合を開いて改めて議論し、関電にも意見を聞く。(朝日)
この件に触れないわけにはいかないが,私にとっては何とも気分の悪い話だ。
世間にあふれている,「なんとなく放射能が気持ち悪い」みたいな気分の悪さではない。
そういう「なんとなく」がダメなのである。
その根拠なき反対論はほとんど私の中では捕鯨反対論と同じ。
ある種の宗教なので,議論しようがないのだ。
で,原発反対派の人はそういう面があって,話にならない。
サイエンスを議論できないと気分が悪いのである。
今回,検討委員に入っている東洋大の渡辺という人もそれだ。
ほとんど原発反対のために,まず活断層があると決めつけて,その証拠を探そうと必死だ。
一方,活断層の専門家は,そうと決めつけるのはサイエンスとしてはいかがなものかというスタンス。
これは科学者として正しい。
話がややこしいのは,この渡辺さんは活断層の専門家だとマスコミにも思われている点。
どうもテレビでの発言を聞いていると,地質学的に素人な面が見受けられたので調べてみた。
やっぱりそうだった。
地理学者。
地理学ははっきり言ってサイエンスではない。
形を見て分類するだけ。
地質学はその成因の可能性をさぐるサイエンス。
可能性は高いか低いかであって,絶対というものではない。
活断層は確実なものと,そうとは言い切れないが可能性が高いもの,可能性は低いがそうかもしれないものがある。
すべて確率で議論するのがサイエンスというものだ。
たとえばこの渡辺さんが断層粘土をさわって「やわらかかった」というのを根拠に,「少なくとも100万年より古いということはない」と発言していた。
その時点でこの人あかんと思った。
かたいとかやわらかいは主観的な表現。
しかも,仮にやわらかくても100万年以前に動いた可能性を否定する根拠が全くない。
実際,私は大阪層群で遊んでいたが,おそらく100万年くらいの地層の粘土は子供でも指で掻き出せるくらいやわらかい。
フィールドで実際に地層をさわらずに,地図や空中写真だけですごしてきた人なのだろう。
その渡辺さんがえらく噛みつくので活断層かどうかの議論は紛糾する。
そりゃそうだろう。活断層に間違いないという結論しか受け入れる予定がない人だから。
そうでない可能性を受け入れる余地のない,一見科学っぽく見せているモノを似非科学という。
ポパーの言うように,反証可能性を持っていない時点でアウト。
ここでまた日本のマスコミのアホさが拍車をかけているのである。
マスコミは科学が何であるか,さっぱりわかってないので,こういう似非科学者にひっぱられてしまうのである。
世間の一般ピープルが食いつきやすそうな話題提供者だからその話を大きく取り上げてしまう。
先日のiPS細胞の誤報もそうだが,全くインチキな科学者を見抜けない。
お粗末な話なのである。
さて,原発の真下に活断層があってはいけない法律をつくったのは誰か?
活断層と認定する基準をその法律に書いていない以上,全くその法律は無効だろう。
100%活断層であるというのは難しい。
降水確率のように10%きざみで出すのも難しい。
実は活断層は確実度1〜3にしか分類されていない。
今回の断層破砕帯は確実度3未満なのではないか。
可能性はなくはないので,それを言いだすと本当に日本中どこでも活断層かもしれない断層だらけだ。
結局,活断層と認定するかどうかは政治的に決めるしかない。
活断層の専門家は認定することはできないというのがはじめからわかっていることなのだ。
さて,明後日に結論が出るらしい。
どういう政治的決着になるかが見ものだ。
似非科学追放のための応援よろしくお願いします。
特に地学関係のサイトに変なのが多い。
↓
にほんブログ村
にほんブログ村