[2013年3月19日]
今朝はどの新聞も昨日出された南海トラフ大地震の被害想定の話が1面にきている。
ちょうど先日に和歌山で行った気象予報士会でその話題をしゃべったところだ。
この話は昨年の8月29日にすでにあって,実は和歌山県は早くもその想定に基づいて県民のための防災に着手している。
今回は被害を金額に換算したものが出されただけであって,対策すべき点が変わるものではない。
和歌山県のすばらしいところは,昨年8月の想定なのに,この3月にはそれを反映した冊子ができあがっていて対応が非常に速い。
他の府県も和歌山県の防災対応を手本にしていけばいいと思う。
写真は和歌山の災害時に情報を集中管理できるシステム。
真ん中に知事がすわって指揮するのだ。
最新の設備ですばらしい。
ちゃんとお金をかけて県民の命を守る姿勢。
大問題は,いつも批判しているが報道側の姿勢。
220兆円という数字が出ているが,その額が大きすぎて何を報道したらいいか面喰っている印象だ。
報道各社に確固たる防災報道の信念みたいなものが感じられない。
220兆円の被害が「このままなら発生する」のだから,「発生しないようにする」方向へ世論を向かわせないといけない。
今の論調だと,「金額が大きすぎてどうしょーもないね」としかならない。
1000年に1度とかそれより低い確率だと強調してもいるが,そこを強調すると,結局何もしない方向に行ってしまう。
220兆円かかる被害額のうち,20兆円でも今から防災にかけておけば,防げる被害が100兆円くらいになるだろうから,結局は被害額はその20兆円も含めて120兆円に減らせるというような議論をすることが重要だろう。
あるいは,20兆円くらいかけておけば死者をなくすことはできないにしても大幅に減らすことが可能だ。
和歌山で8万人の死者が想定されているが,これを5000人とかにすることが十分に可能だ。
このように,被害が出てから被害額を払うのではなく,被害が出ないように先にお金をかけておく発想でないといけない。
防災は文字通り,災いを防ぐのが本筋だ。
後追いの対応ばかりしていては賢くないのである。
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