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尾崎塾
富田教室

[2013年3月29日]

専門家を信用しすぎてはいけない話

立川断層帯の調査について、東京大などの調査チームは28日、地層に残っていた工事跡とみられる人工物を断層の痕跡と誤認したと発表した。 (朝日)


活断層があると思われるところで,地層の食い違いがあれば断層だと思うわなあ・・・
専門家と言っても,地層なんて読み取るのは非常に難しいのである。
原発の下の活断層でよく議論になっていることからもわかるように,地層の解釈って難しいのだ。
いくら何でも地層と人工物のセメントは間違えないだろうと思うかもしれない。
じゃあ,あなたも見比べてみればいい。
セメントって,そのあたりの砂利を混ぜて固める。
地層はそのあたりの砂利が固まってできる。
間を埋めている物質はセメントであって,炭酸カルシウムだ。
人工物のセメントと言っても,たとえば秋吉台のような石灰岩地域の岩石から作られる。
もともとは天然物なのであり,地層の続成作用で礫の間を埋めるのも成分は同じなのだ。
一見,全く区別がつかない。

他にもたくさんある。

泥岩と玄武岩なんて,ほとんど見分けがつかない。
玄武岩にカンラン石の大きな斑晶があればわかるけど,いつもあるとは限らない。

先日,生石高原に登った。
山頂付近は非常に硬い珪長質の岩石。
それで侵食から取り残されているのだが,付近の地質図をみると何と蛇紋岩が!
で,よく調べると,それは結晶片岩が風化したものだという。
これも一見すると本当に蛇紋岩とそっくりだった。
このように,昔の地質図が書き換えられる例は多い。

ちなみに,恥ずかしながら,私の卒論も同様のことがあった。
大阪層群の中に,緑色で炭化木が入っている層があり,高校の教科書的に凝灰岩層と記述してしまった。
後で聞くと,それは海成粘土層だった。
その地層,ご丁寧に硫黄の粉も吹いていた。
硫黄→火山と連想してしまった。

地層に限らず,世の中の専門家を信じすぎてはいけない。
一応,教育業界に25年以上いるが,正直,生徒の学力など,一見しただけでは全くわからない。
少しの違いを見抜くには相当な経験が必要で,そういう教師はめったにいない。
進路指導で,「その高校は絶対無理」と中学の先生に言われて,そこに合格した生徒はウチの塾だけでも何人もいる。
同様に医者もそうだ。
セカンドオピニオンってあるが,ある医者が診断してくれても,納得いかない時は他の医者に見せる方がよい。
昔,半月板損傷で手術が必要と診断されて,他の医者に行くと「それ違うわ。」と言われ,注射1本で治ったことがある。

当たり前のことだが,専門家といえども難しいものは難しいのである。





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