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尾崎塾
富田教室

[2013年7月6日]

どんな指導をしているかの実例(化学編)

試験範囲なのか,「化学結合がわかりません」と質問に来たので,ひととおり講義してみた。

この生徒,授業では英語だけやっているが,試験前のこういう質問は受講科目に関係なくてもいつでも歓迎だ。

まず,原子核は陽子と中性子からなり,陽子の数が原子番号であり,元素名と対応している話。

で,K殻は2個,L殻は8個で満席という話。

ここで,分子の形などにも疑問を持っているようだったので,s軌道p軌道などのオービタルのことまで教えておいた。
2つの電子が逆にスピンしていて,偶数個の方が3次元的にバランスをとれるので安定するということにもふれた。(このあたりの説明は厳密には不正確だが,そういうイメージを持っておく方が腑に落ちる・納得感があるということ。排他律とか本当のことは大学に入ってから「実はそうだったのか」と学べばよい。)

だいたい,K殻とかL殻とかは平面に円を描いて考える。
実際は立体的に結合していくのだから,おのずと限界がある。

電子式もそうだが,実際は3次元的なものを便宜的に表しているのだ。
だったら,本当はどうなっているのかを知らなくては,便宜的の意味がわからない。
というわけで,ある程度の学力ベースのある生徒には最初から真実を伝えておく方がよい。

で,s軌道p軌道の順に電子が入るが,例えば炭素だとs軌道に1個,p軌道に3個入った状態になる。
では,その4つの電子がきれいに1:3の割合で別の挙動をするかというとそうではない。
この4つの電子は互いに「相談」して全く新たに,3次元的に等方性のある軌道をつくるのだ。
名付けてsp3混成軌道。
これが正四面体の頂点の方向に伸びているので,たとえばメタンなどは正四面体形をしているというわけ。
分子模型もあるので,適宜見せながら話をした。

img1
軌道の形などは,高校の化学基礎の教科書には載っていないから,大学の教養教科書を見せてあげた。

img2

このように,分子の形は電子の軌道によって決まる。
軌道は何によって決まるかは,電子の「相談」だと教えた。
なんといいかげんな?

しかし,こういう点が化学を理解するのに最重要だ。
その後,電気陰性度の説明もしたが,各原子の性質は人間の性格と同じように考えるように指導した。
「私,電子が大好きなの(ハートマーク)」というのが電子親和力。
「俺,絶対に電子を渡したくない!」というのがイオン化エネルギー。
両者の平均が電気陰性度だと教えた。
こんなのは,そいつらの好み・嗜好・性格等々の問題で,そういう度合はそいつらに聞いてくれという話だ。

だから,我々は,「あいつはそういう奴や」というようにレッテルを貼って覚えていくしかない。
とりあえず,水素君,ヘリウム君,・・・とカルシウム君までの20人の性格を覚えておけと言っといた。

人間と同じなので,杓子定規にいかない部分もある。
そういうスタンスで取り組むと化学の理解度がグーンと上がる。

今日は,授業ではなく質問対応であったが,100分くらい黒板を使って本格的に講義してあげた。
こっそり中和反応や酸化還元反応の理解の「前振り」も入れておいた。

試験前には,「試験があるので塾を休みます」という暴挙に出る生徒がいる一方で,質問に来て学校で習うよりも詳しく教えてもらって,スッキリ納得する生徒がいるのである。





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