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尾崎塾
富田教室

[2013年9月6日]

覚えるなという指示のヒミツ

「明日テストをするから,覚えてこないこと!」

ある生徒に出した指示だ。

えっ?という顔をしたが,意味はすぐにわかったようだ。

テストをするから「覚えてこい!」が普通の指示だろう。
それを敢えて「覚えてくるな!」とは???



今週は毎日16個の英短文を覚えてもらった。
月曜に16個,火曜に16個,水曜に16個,木曜に16個。
覚えてきた英短文を塾でテストするが,塾に来てすぐに一度確認してから,16個のうち10個の出題をする。

当然満点を取る。
一度ちゃんと覚えてきたのを,塾で再度確認した直後なのだから,覚えていないはずがない。

金曜日は何をするか。
月〜木の16×4=64の英短文の中から10題の出題をしてあげる。

ここで工夫をしたのが最初の指示。

月〜木の試験は覚えて来させてすぐのテスト。
いわゆる短期記憶だ。
せっかく覚えた短文を長期記憶化させないといけない。

おそらく今なら全部覚えている。
確認すれば明日も完璧に書けるだろう。
それを,確認せずに書けるかどうか。
それを試すのが非常に重要なのだ。

人間の記憶というのはスゴイもので,忘れていい記憶はどんどん忘れ去るようにできている。
むしろ,忘れることが最大の能力といってもいい。
いちいち無駄なことを思い出していては処理速度が落ちる。
必要なことのみ残すのが人間の脳の優れたところだ。
しかし,多くの受験生はこの優れた機能を「悪用」して,確認テストの当日のみ覚えていて,3日経ったらすっかり忘れてしまう。

何度覚えてもすぐ忘れる人は,記憶能力が低いのではなく,長期記憶の必要性を感じていないからだ。
また試験前に覚え直せばいいとくらいにしか思っていない。
そして,たしかに試験前に見直しておけば,試験の当日はなんとかなる。

だから,直前に見直せないという縛りをかけてあげる。
すると,これはもう,長期記憶化するしかなくなる。
いつも満点の生徒にとって,満点とれないのは「恐怖」だ。
その「恐怖感」が短期記憶の箱に入っていたモノを長期記憶の入れ物に移動させていく。


英作を苦手とする生徒が多いが,理由はカンタン。
覚えてないから。
正しい英短文を覚えておいて,それを書けば正しい英作になる。
もちろん,単語が少々変わっても書けるように覚えておく。

「ここから駅までどれくらいありますか。」
How far is it from here to the station?

駅が学校になったり郵便局になっても同じように使える。

しかし,このような短文は何百とあるから試験前日に全部復習して覚え直すわけにいかない。
日々の積み重ねと,その長期記憶化をしておけば,簡単に英作文ができるようになる。

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