[2013年10月25日]
AO入試で合格させてしまった・・・
先日書いた生徒,ほぼ毎日通塾なので,かなりみっちりと対策した。
対策といっても付け焼刃ではダメなので,選んでもらえるような人間とはどういう人物かを丁寧に指導した。
まず,その生徒が合格するに必要なモノを持っていることが前提。
で多くの生徒は,出してはいけないモノを出し,出すべきものを出さないから不合格になる。
AO入試は要するに今後流行予定?の「人物重視」の入試だ。
その学部学科に入学するに足る人物であるかどうかの試験。
小論文とディスカッションなので,小論文に関しては新聞記事をテーマに何度も自分の考えを書かせた。
それらについてこちらがコメントしたり修正すべき点を細かく指導した。
小論文の指導というと,高校では国語の先生の出番になる。
これには以前から懐疑的だ。
極端に言うと,性格の悪い国語の先生になんか小論文の指導ができるはずがない。
まだ,社会科の先生の方がマシ。
どの大学も小論文のテーマは今の世の中で起こっていることだ。
世の中がどうなっているかは現代社会や政治経済の中身を教える社会科の先生の方が指導できる。
実は小論文の指導は,その学科の先生の心の琴線に触れるかどうかが大切。
その心がちゃんとわかるかどうか。
そこは社会科の知識だけではダメで,今回合格した生徒にはそういう心の話も指導した。
いや,簡単なこと。
人の命って大切だということだ。
これは誰でも思っていることで,そこのど真ん中に直球を投げ込めばいいだけ。
人の命を大切にする社会を創りたいと心底思えば,必然的にそのようなことを書ける。
ディスカッションも同じだ。
前に書いたように,他人をこけ下ろして自分の主張を通して勝ったと思うようなのはダメ。
みんなで一人一人を大切にする社会を創ろうという方向性で話をする。
これも心底そう思っていれば必然的にそのような発言ができる。
要するに人物重視のAO入試に合格するのはカンタン。
合格するに足る人物であればよいだけだ。
ところが何も指導を受けていない(国語の先生に指導を受けてはいるが・・・)生徒は,小手先の対策でごまかして入ろうとかラッキーで入ろうとする。
やみくもに一生懸命な人を演じるとか,取って付けたかのようにこの大学が大好きですとか。
そんなのはかえって来てほしくない生徒に見えてしまう。
そういう意味では,今回合格した生徒は私の指示どおり普通に自分の考えを出すだけでよかったわけで,採点する人から見て「おっ,他の生徒よりかなりマシやな」と思えたから合格したのだろう。
ところで,その合格の一報を生徒がくれたときの正直な感想が,冒頭の「合格させてしまった・・・」
ついでに書くと「やべっ」っていう感覚。
大学さんの勝手ではあるが,やはり大学というのは学問をする場所であって,相当に学力がないとダメだと,これも心底思っているのだ。
普段の演習では,まだまだその大学の合格レベルにないのに,AOで合格してしまった。
もちろん今からもしっかり勉強すればいいが,実際のところそんな生徒はまずいない。
合格したら遊びほうけて,入学時点で困ることになる。
だから,本当にちゃんと一般入試で合格する方がいいのだ。
学力がちゃんとあって,大学でもちゃんと学んだら人間としてさらに大きくなって,世の中への貢献度も増すというもの。
大学へ入ったはいいが,単位を取るのに汲々としているようでは,その後の社会貢献がおぼつかない。
ここで改めて確認。
ウチの塾は合格を目的にやっている塾ではない。
ちゃんと勉強して学力を上げることを目標にやってもらうのがウチの塾。
で,学力が高い人の方が低い人より将来的に社会に貢献する度合いが大きくなるだろう。
もちろん,学力を高くすることでどこかへ合格する可能性が高くなる。
ただし,合否を決めるのは高校や大学さんであって,合格に足る学力と判断してもらえれば合格。
いくら学力が高くても,もっと学力が高い人が大勢いれば不合格になる。
それはそれでかまわない。
ウチの塾生が合格するよりも,もっと学力の高い人が合格するほうが世の中のためになる。
逆に,ウチの塾生が合格するということは,ひょっとしてもっと学力の低い人が合格するかもしれなかったのを阻止したことになり,それはよいことだと考える。
そうやって合格者の最低ラインのレベルが上がることが世の中のレベルを上げていくことになるのだ。
そのためにやっている塾。
他の塾と全く違う考え方だが,その方がやることがハッキリしてよい。
塾が合格を目的化すると,その受験でしか通用しないテクニック的なものを教えたくなる。
そういうのは意味がない。
本物の学力があれば何も怖くない。
その本物の学力にはAO入試でも合格してしまうような本物を大切にする心も含まれている。
だから入試形態が何であっても通用するのだ。
さらに,その延長上に就職もあるし,社会貢献もあるのだ。
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