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尾崎塾
富田教室

[2013年12月3日]

よくわかる活断層講座

最近の地質時代に活動したかどうか,どうやってわかるか?
一般に,断層のずれがよく見える崖などは多くありません。
そこで地面を掘って,地層のずれを見る「トレンチ調査」をやって確かめます。

下の秋田大の入試で出題された図を例に考えてみましょう。

img1
まず,断層Aは地表まで突き抜けています。
それで1万年前に堆積した地層を変位させて(ずらせて)います。
このことから,少なくとも断層Aは1万年よりも最近に活動したことが判明します。

ところが,断層Bは1万年前の地層を変位させていませんね。
ということは,断層Aが活動した時にはBは動かなかったということになります。
しかも,2万年前の地層を切っていないので,少なくとも断層Bは2万年以上休止していることになります。

さて,ここで問題が生じます。
断層Aと同時に活動しなかったからといって,断層Bはもう死んだ断層でしょうか?

そうとは言えないのです。
たまたま前回は動かなかっただけで,次回は断層AもBも同時に動くかもしれません。

もっと言えば,断層AとBは地下深くでつながっていて,その主な断層が繰り返し動き,AやBはその枝分かれした部分なので,動いたり動かなかったりしている可能性があるのです。

もともとは第四紀という200万年より新しい時代に活動した断層は再び動く可能性があるので活断層と呼ばれていました。
最近はもっと年代を絞るようになっています。
原発関連では12万年前とか40万年前で線引きするようになっています。

そういう基準では断層Aも断層Bも立派な活断層です。

断層Aは地表に突き抜けているので,何らかの地形の変化を生じている可能性があります。
低い連続する崖などがあるかもしれません。
ところが断層Bの上にはすでに堆積物が覆っていて,地形的には何も手がかりがありません。
この断層Bのように,地下に眠っていてよくわからない活断層を伏在活断層といいますが,それは都市の地下にもたくさんあると考えられています。

さらに言えば,次の大きな地震では断層AやBの他に新たに断層Cが生じることだって大ありです。

このことから,たとえばこの活断層Aの真上に建物は建てない方がいいでしょうが,他の場所が安全だという根拠にはならないということです。
既知の活断層の近くはどこも危ない。
そう考えておくのが重要でしょう。

というか,日本では活断層から遠い場所はあまりないので,揺れるのはあきらめましょう。
しっかりと耐震設計された家は,本当に活断層の真上でもない限り倒壊はしませんから。




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