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尾崎塾
富田教室

[2014年1月19日]

センター地学解説(第1問)

さて,それでは今年も解説していきます。

(※すみません,一部iPadやiPhoneでは丸数字が文字化けして読めないようです。パソコン版画面でご欄下さい。)

まず第1問から。


第1問
A
問1 正解?
地球ができた頃,密度の大きい鉄などの金属が地球の中心部に沈み,密度の小さいケイ酸に富む成分と分離したと考える。アイソスタシーのイメージと似ている。重いもの(密度大)は下へ沈み,軽いもの(密度小)は上に浮く。その結果,金属鉄に富む部分が核となり,ケイ酸塩鉱物を主体とする成分はマントルとなった。したがって,アは[密度],イは[核]である。
地球内部から地表への熱量は地殻熱流量という。平均的地殻熱流量は1平方メートルあたり70mW程度であるのに対し,太陽放射が地表に到達するのは1平方メートルあたり平均170Wである。前者の単位がmWすなわちミリワットであるのに対し,後者はWであるから約2500倍も太陽放射が大きいことになる。したがって,ウは[小さい]が入る。このような値は記憶していると有利であるが,常識が問われる問題の典型例である。すなわち,地表に手をかざしてみて伝わってくる温かさを感じたことがあるだろうか?火山地域ならともかく,通常はそんな熱は感じない。一方,太陽に向かって手をかざせばかなり温かさを感じるはず。そもそもの意味を考えて対処すれば超カンタンな問題である。

問2 正解?
?の選択肢は引っ掛け。地殻―マントルとリソスフェアやプレート―アセノスフェアを混同しているとこれを選んでしまう。アセノスフェアはマントル物質が部分溶融していてやわらかいので地震波速度はリソスフェア(プレート)より遅い。
?たとえば,ハワイ島に連続する天皇海山列の形成年代と現在のハワイ島の位置=ホットスポットの位置から太平洋プレートの速度が見積もられていたし,アフリカ大陸と南米大陸の分離した時代と現在までに広がった距離からも推定できる。残留磁気の方向とその岩石の年代からも推定できる。
?海洋プレートは海嶺で形成されたときは熱く薄い。海嶺から離れるにつれて冷却されて密度が増し,厚さも増す。したがって?が正文。
?大陸プレートはすでに温度平衡に達しており,今から冷めていくようなことはない。また,大陸地殻の密度はマントル物質よりも十分に小さいので沈むことはないと考えられる。

問3 正解?
地球内部の温度や圧力は深部に行くほど増加していく。また,?のようにマントルと核の境界で急激に増加することもない。したがって?が正しい。

問4 正解?
aは正文。核の表面からマントルプルームと呼ばれる高温の上昇流が地震波トモグラフィーによって観察されている。
bも正文。問題文にあるように,地球誕生のときに高温であったことと,岩石中に含まれるウランやトリウムなどの放射性同位元素の崩壊によって発熱していることで地殻熱流量が生まれる。
cは誤文。たとえば木星の衛星イオでは活火山が見つかっている。現在の活動に限らなければ火星や金星にも火山が見られる。

B
問5 正解?
遠く離れた星からの光は平行光線とみなせる。よってエは[地球からはるかに離れている]が入る。太陽高度の差が生じるのは南北に離れた2地点である。南北で差がつくのは緯度であり,同じ経線上であれば2地点間の緯度差が地球の中心核に等しくなる。したがって,オは[経度]が入る。中心核:円弧の比例計算をすればいい。x:360=s:aより,x=360s/aとなる。カは[360s/a]である。

問6 正解?
地球楕円体は自転の遠心力によって赤道方向に膨らんでいる。したがって赤道半径の方が極半径よりも長い。よって?が誤文。
?北極では遠心力が働かないので重力=万有引力となる。
?重力の方向を鉛直方向というのは,鉛のおもりをぶら下げた糸の方向だからである。語源的にも全く正しい。
?海洋地殻の厚さは5kmからせいぜい10km程度である。地球の半径はおよそ6400kmであるから0.5%に満たない。地球の半径などは記憶しておくべきであるが,問3のグラフの縦軸の値が参考になると気付けば正答できる。