[2014年1月20日]
第2問
A
問1 正解?
大陸地殻は花こう岩質であり,花こう岩は主要な岩石である。また島弧で最も多く産するのは安山岩であるが,日本列島の領家帯のように花こう岩を基盤とする地質は多く見られるので主要な岩石である。よってaは正文。
花こう岩の平均密度はおよそ2.7g/cm3程度であり,かんらん岩(3.3程度)や玄武岩(3.0程度)よりも密度が小さい。よってbも正文。
花こう岩は石英,カリ長石,斜長石,黒雲母と角閃石を含むことがある。斜長石はNa(ナトリウム)成分に富み,カリ長石や黒雲母にはK(カリウム)が多く含まれるが,Mg(マグネシウム)はむしろ玄武岩などの塩基性岩に多く含まれるのでcは誤文。
問2 正解?
変成岩岩石学の本質にせまる良問!(一般に良問ほど受験生の出来具合は悪い・・・)
もともとY帯であったAl2SiO5鉱物はらん晶石であり,そこに熱変成が加わると周囲のみ紅柱石に置き換わる。したがって,藍晶石のまわりを紅柱石が取り囲んだaのような鉱物が観察されることがある。同様にZ帯であった鉱物は珪線石であり,その周囲を紅柱石が取り囲んだbのような鉱物が残っている可能性がある。したがって正解はaとb。
問3 正解?
放射性同位体の半減期は温度や圧力には全く無関係に正確に時を刻む時計のようなものである。?が正文。
?は誤文。この地域の年代が約1億年であることから,半減期が5730年の炭素14では測定限界を超えてしまう。炭素14で測定できるのは5〜6万年程度までである。
?も誤文。花こう岩の貫入時期と接触変成作用で生じたX帯の形成時期は同時期のはず。
?も誤文。変成岩の年代が約1億年ということで,中生代かそれ以前にできた岩石が原岩である。ビカリアは新生代の示準化石であるからそこに含まれているはずがない。
問4 正解?
花こう岩は約1億年前=中生代の変成岩に熱変成を与えているのだから中生代よりも新しいはず。古生代に貫入との?は誤り。
紅柱石は図2より800℃以下でないと晶出しないので?も誤文。
?はたとえば600℃くらいの想定で考えてみる。600℃でらん晶石が安定なのは6億Paより高圧側。一方の珪線石はそれより低圧側で安定。だから,Z帯の珪線石はY帯のらん晶石よりも低圧側すなわち浅い所で形成されたことになる。よって?も誤文。
?の読図は難問。らん晶石と珪線石と紅柱石の3鉱物が共存する3重点が500℃・4億Paあたりになるが,Y帯とZ帯の境界ではらん晶石と珪線石の両方の安定領域に接しているのだから3重点よりも高圧側にあったはず。それが紅柱石の安定に存在できる低圧な場所=浅所に上昇してきたから熱変成によって紅柱石が形成されたのである。?が正文。
B
問5 正解?
P点よりも浅いところに上昇すると圧力が低下する。つまり図の左側に移動するのでR付近でかんらん岩の融解曲線に達してかんらん岩が部分溶融した玄武岩質マグマが生じる。
問6 正解?
少し細かい知識問題。
?:ハワイ島が最新の火山島であり,北西へ行くほど古い島になっていくことを知っているかどうか。
?:海嶺から左右に海底が広がっていくので,同時代にできたものは海嶺と平行に並んで存在するはず。海底の地磁気異常の縞模様が形成されるしくみを思い出すとよい。
?:海嶺と平行な火山前線付近から急に火山が出現する。「沿って」という記述が微妙だが,後の??が誤文なので?が正文。
?:太平洋南東部にあるナスカプレートが南米プレートへ沈み込むペルーやチリには大陸上に活火山が存在する。
?:アイスランドの地溝帯にも東アフリカの地溝帯にも活火山が存在する。