尾崎塾
富田教室

[2014年2月3日]

リケジョってどうよ

リケジョっていう言葉が流行しているが，トンデモないことだと思う。

そもそもだが，人間は文系とか理系とかに分類されるものではない。
ここをハッキリさせておく。

「文系人間」や「理系人間」というのはない。

便宜上，理工学部や農学部，医療系などは理系で社会学部や経済学部や文学部は文系と分類される。
だから，入試も理系と文系に分かれて試験がある。

理系と文系というのは，大学の学部や入試の方式の分類であって，決して人間の分類ではないことを確認しておきたい。
言葉的には文系学部出身の人間とか理系学部出身の人間というのは発生する。

それを踏まえて，こういうセリフをどう考えるかだ。
「私は文系なのでよくわかりませんが，今回の新しい細胞について・・・」

何を言ってるのだ？
生物学の内容を「文系だから」という理由でよくわからないと言っている。
そうではないでしょう。
文系学部出身なら高校で学ぶ程度の生物とか細胞の知識を持っていなくて当然なのか？
むしろ，センター試験で生物を使った人は理工学部で物理と化学だけ勉強してきた人よりも詳しいのではないか。

「頭が悪いから」とか「勉強していないから」とかが理由ならわかる。
日本人特有の謙遜で使っているのでもない。

「文系だから」数学がわからなくて当然。
「文系だから」理科がわからなくて当然。
「文系だから」難しいことがわからなくて当然。
「文系だから」大学で勉強しなくて当然。
「文系だから」アホで当然。

そういう意味でみんな「文系ですから」と発言している。
そう，アホ丸出しだ。
素直に「アホだから」と言えばいいのに。

これは世間でいう自称文系人間を批判しているのではない。
そういう分類はないのだし，逆に自称理系人間にも当てはまる。
「理系だから」国語が苦手。
「理系だから」英語が苦手。
「理系だから」社会科が嫌い。
「理系だから」変人？
などなど，自称理系もアホ丸出し。

要するに，「私○系ですから」と言った瞬間に，世間の人に許しを乞うという風になっている。
あたかもそれが免罪符であるかのように使っている。
私はそんなもの，免罪符と認めないし，私だけでなく世間は認めない。

そんなアホなセリフを最も多く見聞きするのがテレビ番組だ。
テレビ番組でこの細胞がどうのこうの言ってるのを信用してはいけない。
これは一見まともに見える報道番組でもそうだ。
「私は文系なのでよくわかりませんが，」と発言する人のセリフは一切聞かないことだ。
一事が万事，その人のすべての発言が信用できない。
「文系ですから」と言った瞬間に思考停止になっている。
さらに面白おかしく「リケジョ」の特集をする放送局はすべてアホの集団だと言える。


ここから本題。（前置き長っ！）

その自称文系人間が今回のSTAP細胞作製に関して「常識・先入観にとらわれない発想」を称賛している。

正直，「そこっ？」と思った。
逆に，常識・先入観にとらわれていた雑誌の査読者が批判されるべきなのだ。
サイエンスの考え方としては，当然のアプローチをして実験をくり返して行きついたわけである。
ただ，あたりまえのことをしっかりやって成果を出したのである。
今回の成果にケチをつけているのではなく，すばらしい成果であることには変わりないが，常識にとらわれないことがアホな自称文系報道人によって過大に取り扱われている気がするのだ。
世の中の多くの研究者は，同様にサイエンスの手法＝常識や先入観にとらわれないやり方で日々研究を行っている。
それで結果が出なくても，基礎研究を多くやる中で何パーセントかに「当たり」が出るのだ。
そういう意味では，世の中で同様にちゃんと研究している人がもっと正当な評価を得るべきだろう。
これを機に，生物の特定の分野に限らず，広く基礎研究全般に予算が多く配分されることを期待したい。

もう一つ指摘しておきたいことが，冒頭の「リケジョ」だ。
この言葉にこそ「女子は理数系科目が苦手な人が多い」という常識・先入観を前提としているではないか。
そこが一番違和感のある点である。


まあ，「マスゴミの人間はアホばっかりだ」という先入観は私とて誰にも負けないので，言う資格がないと言われたらそれまでだが・・・






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