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尾崎塾
富田教室

[2014年4月27日]

では何を見ているのか

たとえば,気体の圧力を求める問題があって,状態方程式に代入するとこんな式になったとします。

PV=nRT
P×0.0415=2×8.3×273

この式を,「まじめ」な生徒はこのように計算するのです。

P×0.0415=16.6×273
P×0.0415=4531.8
P=4531.8÷0.0415
=109200〔Pa〕

これを素人が見ると,何も感じないかもしれません。
仮に,かけ算のところや割り算のところで計算ミスをするかもしれませんが,「その計算」のミスを指摘して終わらせる可能性があります。
「ここ間違ってるよ」
「もっとちゃんと計算しないとダメだよ」
「ちゃんと見直しした?」
くらいの声掛けする程度かもしれません。

そういう問題ではないのです。

まずは計算の順序が間違っているので,そこを指摘してあげないといけません。
つまり,0.0415と8.3は整数倍の関係です。
化学の計算に慣れた人ならすぐに気づくのですが,初学者にはこれが見つけにくいのです。
まずそれを1:200と約分しておくと圧倒的にカンタンな式になります。

P×1=2×200×273

これだと273を400倍するだけなので,計算ミスはほとんど起こりにくくなります。

「ああ,なるほど,塾ではそういう指導をしてもらえるんだ。」

こう思われた方はちょっと待って下さい。

こんな指導はその辺の大学生に講師をやらせれば誰だってできます。
だから大学生講師の塾がアチコチにあって,どこもそれなりに生徒が入っているのです。

我々はもう少し違った「意識」の在り処を見ています。
そもそも,何をやっているかです。
出した答がたとえば1ケタ計算ミスをして10920〔Pa〕になったとしましょう。
多くの生徒はそのまま平気でその答を書きます。
そして自己採点で,
「ああ,1ケタ間違っちゃった,次から気を付けよう」
で済ませてしまいます。
だからいつまで経っても理科ができるようにならないのです。
理科の問題は単なる計算ではないのです。
出した答には意味があるのですから,その答の吟味,検討をしないと全く理科をやっていることになりません。
答にPa(パスカル)という単位がついているのが重要なのです。
(単位をつけないで答える大馬鹿も時々います)

img1
長くなってますが,受験生は特にちゃんと読んで下さい。
たとえば初めの圧力が101300Paだとして,上記の問題が出題されたとします。
温度を保って気体の体積を少し「圧縮」して0.0415㎥にした時の圧力を求めているのなら,もとの圧力よりも少し高くなっていないとおかしいわけです。
なのに,もとの圧力よりも1ケタ小さい圧力になった答を出して,平気でそれを答としてしまうその「精神」が全くデタラメなのです。
我々はそういうところを見ています。

単なる計算ミスで終わらせがちなことを,そもそもの意識の持ち方へと還元するのがとても大切なことなのです。
こういう意識が変われば,理科だけでなくすべての教科の意識が変わります。
すると1段レベルの高い人間になれるのです。


同じ発想で,たとえば数学のベクトルの意識も変わるはずです。
ベクトルを計算だと思っている人は100年経ってもベクトルができません。
ベクトルは図形です。
どんな図形かの確認・吟味をすることなしに答は出ません。

英文和訳もそうです。
単語を羅列しただけで日本語になっていない訳文になっていませんか?
ちゃんと意味が通じないと話にならないですよね。
日本語として自然に通じるような訳を心がけましょう。

ほかにもイロイロあると思います。
各自でさがしてみてください。







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