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尾崎塾
富田教室

[2014年6月18日]

K高校の比較(国公立文系について)

よくあるのが,「国公立大学をめざします」とは書いてあるものの,合格するのは数名しかいない学校。
本気でめざしてるの?
国公立も行けるとなれば,優秀な生徒を(だまして)入学させられる。
しかし,学校にはそんな優秀な生徒を教える能力がなかったりする。
これでは詐欺と言われても仕方ない。

私立高校が本気で国公立大学の文系で合格者を出そうと思っているか否か。
実は,学校自体がはじめから全くめざしていない場合があるのだ。
そしてそれはカリキュラムを見ればすぐにわかる。


これを理解するには国公立大学の入試についての知識が必要なので,簡単に解説しておく。

ほとんどの国公立大学の入試は「センター試験」と各大学の「個別試験」(いわゆる2次試験)の合計点で合否が決まる。
そして,その配点が大学によって,というより学部学科ごとに微妙に全部異なっていたりする。

たとえば神戸大学の例を見て欲しい。

img1
英数国の3教科が重要なのがわかる。
英数国だけで全体の8割以上の配点があるのだ。

そして,国公立と私立で決定的な差が生じるのが社会科と数学の勉強量なのである。
神大なら社会科(地歴公民)の配点は100点分(12.5%)しかないのに対し,数学は倍の200点分(25%)ある。
これが,たとえば同志社大の経済学部だと,
英語200点,国語150点,地歴・公民・数学のどれか1つ150点となる。
多くの文系受験生は数学を苦手としていて,たいていは地歴で受験する。
そうすると,地歴の配点比率は500点のうち150点あるから30%を占める。
地歴がかなりできないと私立大学は合格できないのである。
そして,社会科は暗記すればなんとかなりそうなので,勉強しやすい。
国語はやっても仕方ないとか言ってほとんど手をつけず,英語と社会科ばかり勉強して合格するのが私立大学なのだ。

国公立大では数学を避けて合格する道はない。
したがって,数学をみっちりやって合格するしかないのである。
単純に配点比率を考えたら勉強量の比は社会:数学=1:2であるべきなのだ。

数学が得意であれば,社会科の比率を高めにしてもよいが,多くの生徒は数学が苦手で足を引っ張るのだ。
だから,数学の勉強量が社会科の2倍では足りないというのが実際のところだろう。

ところが,世の中はおもしろいもので,国公立コースという名前であっても数学よりも社会科の単位数の方が多いカリキュラムが山ほど存在する。

たとえば,K高校
img2
ここの特進?は,一応国公立と書いてあるが,実際の3年次時間割を見ると,
日本史5単位に対し,数学が3単位+補講しかない。
数学の方が少ない状態で国公立大受験のレベルに達するわけがない。
そして,その数学のコマには平行して国語の演習が入っているのだ。
これは,私立しか受験しない生徒のためのものであり,実態はそちらがメイン。
難しい数学をやらないですむ私立に多くの生徒が逃げるのだ。
ごくわずかに国公立を目指す生徒のため(あるいは生徒がいなくても,世間体のため)に数学を3時間入れてあるだけなのだ。

一方,このK高校はどうか。
img3
多く国公立を出しているのだが,3年次数学が5単位に対し,(選択にもよるが)社会科は4単位となっている。一応,数学の方が多いので「まあいっかっ」てかんじ。
そして,数学を受講しない選択肢はないので,逃げ道がないようにしてあるのだ。

ちなみに,大阪府立K高校が国公立合格者を思うように出していない理由もここにある。
img4
どうやら,3年次に数学3単位は必須だが,選択の仕方によっては社会科の方を多くすることができて,私立大ねらいに絞ることが可能なのだ。
公立高校なので仕方ないのだろうが,頑張ったら神戸大くらいに入れる生徒が,安易に私立大学に流れてしまう傾向もあるにちがいない。


さて,理系に関してはそんなに神経質になる必要はない。
どっちにしても社会科は軽視されており,実際にその配点よりも数学や理科の出来具合が合否を決定づけるので,とにかく英数理を頑張ると合格できるかもしれない。

国公立の文系学部に本気で合格したければ,社会科の勉強の2倍以上は数学をやらないといけない。
そして,たとえば同志社の経済を受けるのも英語と国語と数学を使うくらいでなければならないのだ。




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