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尾崎塾
富田教室

[2014年6月25日]

逆転勝ちしやすい相手としにくい相手

勝負事は,先手必勝。
先行する方が圧倒的に有利なのだ。
昔,ノルディック複合のキング・オヴ・スキー=荻原健司が強かったのは,前半のジャンプで貯金して,それで逃げ切りという必勝パターンだった。
今年,オリックスが調子いいのも,終盤のブルペンが強力だからだ。
以前の阪神のJFKみたいに抑えのパターンが確立している。

一方で,スタミナが抜群にあって,持久戦に持ち込めば有利という場合もある。
ちょっと前の錦織圭君は逆転勝ちが多かった。
相手選手よりも終盤の体力+集中力が上回ることができる選手なのだ。
フェデラーなんかも逆転勝ちが多い気がする。

さて,国公立大受験での逆転はどうだろう?
センター試験が思ったように取れなかった。
2次で逆転合格があり得るのか?

下の表をご覧あれ。
昨年の代ゼミのセンター得点率追跡調査。

img1 表をクリックすると大きくなります。

これは,阪大と神戸大の比較。

やはり,阪大の方がボーダーは高く,神戸大は少し低い。
得点率では5%の差。
これだけ見ると神戸大でなく阪大にも合格できた受験生も多くいそうだが,実際はそんなに多くはないのである。
両者には逆転合格のしやすさ・しにくさに大きな違いがあるのだ。

ボーダーの得点だったらほぼ50%の合格率になる。
それはそうだろう。
よく見て欲しいのは,ボーダーの得点を取れなかった層で逆転合格できる確率だ。
さすがにボーダーから20%も低い得点だとノーチャンス。
しかし,10%低い程度なら,阪大で25%もの合格率になっている。これが神戸なら10%もない状態になる。
(注)前にも書いたが,不合格者は追跡調査に回答しない場合が多いので,実際の合格率はもう少し低いハズ。

通常,センターが目標得点=ボーダーよりも10%も低かったらE判定で志望校変更を勧められる。
ところが,阪大の場合,そんなことに動じずに受験すればかなりの確率で合格者が出ているのだ。

一方,神戸大だとかなり分が悪い。
センターボーダーより5%低いと厳しい状況に追い込まれるのだ。

つまり,阪大はセンターがダメでも逆転できる余地が大きい。
神戸大はセンターがダメな時点で可能性がかなり低い。
もちろん,あきらめる必要はないが・・・

これは何も昨年に限ったことではなく,いつもこの傾向なのだ。

理由は2つある。

1つは配点だ。
センター:2次の配点で,2次の配点が大きい方が逆転可能なケースが増える。
阪大はセンター:2次が300:700
神戸大は375:425なのである。

サッカーにたとえると,前半27分にリードされているか,前半終了間際42分にリードされているかくらい,挽回の機会が違ってくる。

もう一つは,逆転しやすい問題としにくい問題という問題。(ややこしい?)

サッカーにたとえると,点を取る練習ばかりしていて守備に不安のあるチームが相手なら,まだまだ得点して逆転しやすい。
ところが,守備が鉄壁で先行逃げ切りを得意にしているチームを相手に点数を取るのは非常に難しい。

神戸大の入試はまさに,逆転が非常にしにくい典型例なのだ。
2次の配点が理系にしてはやや低めなのに加えて,センターで高得点した連中が解けば,まあ同じように点数が取れる基本的良問を出題する。すると,差は縮まるどころか,追いかける方はそもそもセンターの基本的良問で取れなかった連中なのだからまず勝てない。

阪大は逆のパターン。
2次の問題はセンターの問題と質が違う。
基本から一歩深入りした応用力も求められる。
要求される深さが違うので,センターで高得点の受験生がそのまま高得点を取れるとは限らない。
センターのようなマーク式が苦手でも,論述力・応用力に長けている受験生は2次で高得点が可能なのだ。

というわけで,神戸大に上位で合格した受験生がもしも阪大を受けていたら不合格になっていたというケースはかなり多いハズ。
逆に,阪大に逆転合格した受験生が神戸大でも合格したかというと非常に怪しいのである。

センター後のリサーチ判定だけではそこまで細かくは見えない。
生徒の2次論述力と各大学の特徴を把握した指導者にしか的確なアドバイスができない部分なのだ。

このように,ディープな進路指導がちゃんとできる人が担任なり教科担当者にいればラッキーだが,国公立コースを有している私立高校でも学校に一人もいない場合が多いのではないかと想像する。




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