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尾崎塾
富田教室

[2014年8月7日]

某予備校の地理の先生がウソ言ってた

先日,某予備校の地理の先生が,「今でしょ」の人のTV番組に出ていました。

その中で,それを多くの視聴者が本当と思ってしまったら困る内容がありました。

まあ,その先生はそうだと認識していて,ウソを言っているつもりは毛頭ないと思いますが,地学の側から見るとちゃんちゃらおかしい内容だったという話。


「どうして日本は山がちなのか?」

このことに理由をつけていたのですが,それがおかしいのです。

理由は,大陸は古く,日本は新しいというもの。

いいですか,だまされないように読んで下さい。

外国の大陸は古い。
現在までの時間が長い。
それだけ侵食される時間が長い。
侵食される量が多い。
だから平らになった。

日本の山は新しい。
現在までの時間が短い。
それだけ侵食される時間が短い。
侵食される量が少ない。
だから山が残っている。

だとさ。


えっ?納得しちゃダメですよ!
少なくとも地学を履修している人はそんなバカな話にだまされてはいけません。


もう,きみたちが十数年しか生きていないのに,どれだけの土石流が日本で発生していますか?
これだけ頻繁に山をけずって川がせっせと運搬している土地は,世界でもめずらしいです。
たとえば,山間部の砂防ダムの土砂堆積量などを見ても,すごい量の侵食運搬がなされており,日々,日本の山は大量にけずられているのです。

img2
コレ,京都の花折断層沿いの河川。
断層沿いは特に削られやすい。

この勢いでいくと,第四紀の200万年の間に日本中,どこでも平らになってしまっているはずなのです。

なのに,山がいっぱいあるのですよ。

だから,侵食が少ないというのは全く的外れ。

正しい自然観は,
「すごい侵食をしているけど,それと同じか上回るほどの隆起をしているから日本は山がいっぱい」
です。

活動的な島弧,造山帯だというのが理由なわけです。


その地理の先生は,そうやってもっともらしい理由をつけて生徒から信頼を得ているようですが,正しい自然観を持たない人間を多く生んでしまっては意味がありません。

ちょっと,残念な番組でした。


img1 これはカナダ楯状地の平原
飛行機から見るとホントに平らだ。
川の蛇行がおもしろい!



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