[2014年8月8日]
学校に勤務していた頃,不思議だったことがある。
台風が近づくと,生徒たち以上に先生方がワクワク?していた。
基本的に,学校というところは暴風警報が発令された場合は休校措置をとって,児童・生徒の安全を図らないといけない。
学校が休みになる。
早く家に帰れる。あるいは,行かなくていい。
「やったーっ」と,先生方は大喜び ってオイッ!
いや,生徒は休みでも先生は出勤して仕事だと思うだろうが,現実にはそうもいかず,先生方も喜んで臨時休暇をいただくのだ。
これはわからなくもないが,不思議だったのは,授業計画なのである。
台風で授業が1回ぬけると,授業の進度計画がずれる。
その心配をしている先生を見たことがないのだ。
自分の勤務校だけがそうだったのなら,まあいいかげんな学校だったという話ではあるのだが,どうやらおそらくほとんどの学校で同じようなモノだと考えられるのである。
それは,つまり,ほとんどの学校の授業進度が無茶苦茶だということだ。
塾業界に入って,私立公立を問わず,多くの中学校と高等学校の試験範囲を見るにつけ,これは異常だと感じるようになった。
ほとんどすべての学校,すべての教科が「計画性なし」なのだ。
どうしてあと1ページ進めて,単元の切りのいいところまでを試験範囲にしないの?ということが非常に多いのだ。
理由は,カンタン。
実は授業を計画的にやっていないから。
最近はどこの学校もシラバス(年間指導計画書)を作って,それを年度当初に出していたりする。
しかし,そのシラバスどおりにやらないし,やらなかったからといって,何のお咎めもないのである。
だから,教師たちは自分の進みたい分を,自分のやりやすい速度で授業して,試験の1週間前に進んだところまでを試験範囲にするだけなのである。
これは,結構進学校を標榜する私立でも見られるのだから困ったモノなのだ。
教師の言い訳は決まってこうだ。
「でも,生徒がついて来れなかったら意味ないので,生徒の理解に合わせて丁寧な指導をしています」
それを許容してしまう学校は,もう進学校の看板を下ろさないといけないが,現実にはそうはなっていない。
学校というのは自浄能力がないのです。
管理職も元ダメ教員ですから,そんなもんです。
進学を考えた場合,入試に必要な内容から逆算して,最終的に余裕をもって間に合うような計画を立てないといけない。
すると,その時期,その考査ではどれくらいの範囲まで進んでいて,何を身に着けさせておかないといけないかが確定していくのである。
それがあるから,どの授業で何を教えるか,1コマごとに決まっていくのだ。
それで,1コマ台風でぬけたりすると,試験までの計画が1つずれていくことになる。
特に,理科の場合は実験などの日程がずれるので困ったことになる。
だから,少なくとも理科教員は時間数をちゃんと数えて計画しているとは思うが・・・
逆に言うと,それ以外の教科の先生は,本当にいいかげんになりがち。
進んだところまでが試験範囲になってしまうのである。
以下に私が実践していた進度計画を公開するので,世の中の進学校の先生方にはぜひ参考にしていただきたい。
高2の物理の例だ。
まず,高2だからといって,年度末までに高2の教科書が終わったらよいのではない。
進学校というからには,受験に間に合うかどうかが重要。
だから,高2の授業計画を立てるには,高3の最後の演習まで見越して2年間の計画を立ててから,各定期考査の範囲へと落とし込んで行かないとダメなのである。
そして,各学期,考査範囲が決まれば学校には様々な行事があるので,実際に授業を行う時間数を正確に数えないといけない。そして考査までに15コマあるのなら,進むべき範囲の重要事項をその15コマに配分していくのである。
留意すべきは,考査の前には2時間ほど余らせて総復習する時間をとる。こうしないと,まさに台風などで授業が抜けた場合に困るのだ。
指導計画で大切なのは,その1時間に生徒に何を身に着けさせるかという観点。
私がやっていたのは,その考査範囲で習得すべき内容をたとえば15個に絞って,そのテーマで1コマ1コマ授業をしていく方式。
用意するのは重要例題だ。
その授業の内容が理解できていれば解けるが,あやふやだと解けないレベルの例題を各授業の最後に解かせる。
解けたらその授業の内容は理解できているというチェックテストを行うのだ。
実際,授業でその内容を説明するのは30分。
テストは15分程度で行う。
実は,解くのが速い生徒で15分なので,遅い生徒はチャイムが鳴っても終わらない。
たいていの場合,次の授業が移動でなければ,10分の休み時間をその演習に使えるのである。
時々,次の授業の始まりまでに終わらない奴がいるが,その場合はさらに次の休憩時間や昼休みに解いて提出となる。
さて,授業が終わったら,その提出されたチェックテストの採点。
授業をちゃんと聞いてマスターしていれば解けるので,提出できていれば正解している場合がほとんど。
ただ,理解できていない場合は放課後に再テストとなるので,クラブがあっても残って受けてもらう。
ここで重要なのは,クラブ顧問の先生との関係。
「こいつ今日も残しますので(笑)」などといつも連絡をしておかないとダメ。
で,試合前の大事な時にそうならないようにしてあげないといけない。
生徒がそれを一番よくわかっているので,授業の時に,「わかってるな,今日は居残りしたらクラブに迷惑がかかるぞ」などと言って,いつも以上に集中させてやれば必ず合格する。
次回の授業の冒頭5分間は前時のチェックテストの解説。
それが復習になって,定着につながる。
そして,30分講義,15分(+10分?)チェックテストという繰り返しだ。
このスタイルの授業は,本当に生徒の学力がグングンつくので,ぜひ多くの先生方に真似して欲しい。
教科科目を問わず実践可能なはずだ。
それで詳しく紹介してみた。
実は,学校の先生でこのブログを読んでおられる方が相当数おられるハズ。
教員やってる方にはよくわかると思うが,これは相当に手間がかかってめんどくさい。
でもやってあげて下さい。
よろしくお願いします。
にほんブログ村
にほんブログ村