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尾崎塾
富田教室

[2014年8月21日]

広島の地質

広島がえらいことになっています。

報道でも出てきますが,あそこは花崗岩だらけの地質なのです。

西南日本は中央構造線と平行に変成帯が分布しますが,広島あたりは領家変成帯です。
ここは低圧高温型の変成作用を受けているのですが,その高温をもたらす張本人は広島に見られるような大量の花崗岩質のマグマだったわけです。

花崗岩の組織を見てみましょう。
img1 この写真,塾の前の敷石ですよ。
塾生が毎日踏んづけて通っています。

花崗岩は深成岩ですから,言わずと知れた等粒状組織ですね
img2

黒いのは黒雲母。すぐわかります。
真っ白なのは斜長石です。
で,赤〜ピンクに色づいているのがカリ長石です。
そして,石英は灰色に見えます。
透明なので,透き通っており,奥の方が暗いのでグレーに見えるのです。

この中で,風化に強いのは石英だけです。
白砂青松というように,日本の白い砂浜の砂粒はほとんど石英の粒です。
ほかの長石や黒雲母はもっと細かな粘土状に風化されて飛び散ってしまいます。

ということは,花崗岩でできた山は石英以外の長石や黒雲母がどんどん風化してもろくなります。
花崗岩が風化して,ボロボロの砂状態になったものを真砂(まさ)と呼んでいます。
たいてい,日本の学校のグランドはこの真砂土を敷いています。まあまあ粗粒の粒があって,水はけもいいですから。そして,広島をはじめとして,全国で大量に手に入ります。風化しているので,スコップで掘れるほどやわらかく,掘削費用がかかりません。最も安く手に入る土が真砂土なのですね。

そんな真砂土で覆われた風化花崗岩の山が裏山になっている場所に住みたいですか?

今回,避難勧告が遅れたという点を指摘する報道がありますが,あれは全く的外れです。
そんなところに住んでいたら,あのように土石流に飲み込まれるに決まっているのです。
仮に,今回夜中の2時や3時に避難勧告を出していても逃げられません。大雨,雷雨,停電,真っ暗です。かえって避難中に事故に遭う可能性もあります。そもそも,そういう場所に住んでいたことが誤りだったと認識して,世の中の多くの人はこれを教訓に危険個所に住まないことを学んで欲しいと思います。
今回,被害に遭われた方には気の毒ですが,ハザードマップで危険個所に区分けされている場所が多いのです。情報があるのにそれを活用しなかった住民にも非がありますし,それを徹底して指導しなかった行政にも非があります。今回の災害を機に,全国で危険個所に住まないという意識が高まればよいと思います。

比較的簡単に安全な土地に住む方向に誘導できると思います。たとえば,危険個所に指定されている場所に住む場合は,住民税を10倍くらい取ればいいのです。すると自然に住む人は減るはずです。
塾生の中には,将来,行政に関係する人もいるかもしれません。ぜひそういう方向の政策を考えて下さい。また,政治家を志す方もいるかもしれません。危険個所に住まないでよいようになる法律整備も重要です。
ぜひ,よろしくお願いします。




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