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尾崎塾
富田教室

[2014年10月4日]

救済される欠点者

学校の定期考査では,一定の点数を取らないと単位不認定の可能性がある。
その点数が欠点とか赤点とか言われるやつだが,およそ39点以下に設定している場合が多いと思う。

生徒の会話で,「オレ欠点やってん,ヤバい〜」とニコニコあるいは真っ青な顔で言ってるのを耳にするが,1回の試験で赤点を取ったからといって,即留年というわけではない。
年間トータルの総点で判断されるべきものなのだ。

まあ,普通にちゃんと勉強していれば欠点など取らないものなのだが,時々おかしな教師がいて,超難問を定期考査に出題してしまう場合がある。
クラスで1人か2人の優秀な生徒にとっては骨のある問題でよいのだが,多くの生徒はその問題のせいで大きく点数を落とすことになってしまう。
そんな場合でも,欠点基準の点数は変わることがないので,欠点者が大きく膨らむ可能性がある。

学校としては欠点科目がたくさんあると指導しきれないので原級留置者(いわゆる留年)が増えてしまう。
すると,これは1年下の学年に多大な影響を与えてしまう。
下の学年にとってもいい迷惑で,上級生と一緒に机を並べて勉強するのは違和感がある。
日本の現状では,やはり原級留置はよほどの場合でないと避けるべきなのだ。

それで,学校では,本当は違法なのだと思うが,昔からやられていた方法で留年しないですむようにしている。
業界用語で「下駄を履かす」というやつだ。

たとえば学年の平均点が100点満点で35点という超むずかしい試験をしてしまったとしよう。
これだとクラスの半分以上〜3分の2くらいが欠点者だ。
こういう場合,大騒ぎになって,ひょっとすると保護者からクレームが来かねない。
本来の定期考査はおよそ60点くらいが平均点になるのが適正だ。
したがって,騒ぎが大きくならないように「下駄を履かす」のである。
手法はカンタンで,全員に一律20点を加えると告知すればいい。
すると平均点は35点→55点。
実際に25点だった生徒も45点となって,欠点者とはならないという仕組み。
しかし,その難問の出題された試験で85点取った生徒はどうなるのか?
85+20=105だと言って,105点がつくわけではなく,100点しかもらえない。
しかも,間違えた問題が15点もあるのに100点というのも違和感が残る。

とはいえ,こうすることで,欠点者が膨らんで大問題になることもなく,穏便に学年が進行していくのである。

「下駄を履かす」以外に,「平常点」という仕組みもある。
これは,考査の点数以外に,平常の授業態度や提出物を点数化して成績に加味するというもの。
成績のおよそ2割〜3割程度を平常点が占める場合がある。
仮に2割の設定だとして,定期考査で30点だったとしよう。
しかし,平常点が満点の生徒なら,考査30点×8割 + 平常20点 = 44点
となって,欠点者にはならない。
平常点が満点なら,考査で25点以上の生徒は救済できるという計算になる。

そして,平常点のウェートが高いと,生徒は普段の授業から真面目にやらなくてはならないので,授業がやりやすくなる(^.^)。これが実は本当の目的だったりもする。

学校の先生方の究極の目標は「授業の成立」である。

クラスが崩壊して,授業が成り立たない状態だけはなんとか避けたい。
その抑止力になるので,平常点だけは学校現場からなくすわけにいかないのである。

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