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尾崎塾
富田教室

[2014年10月17日]

いじめの本質

小学校のいじめが2年連続で過去最多とのこと。

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文科省が分析しているように,「掘り起し」が進んだ結果といえよう。

要するに,いままで見過ごされてきた事案,見て見ぬふりしてきた事案,見ようともしなかった事案,もみ消していた事案などがカウントされるようになってきただけ。

これも,まだまだ件数の少ない県があるようなので,そういう県を重点的に指導しないといけないのだ。
そう,件数の少ない県ほど,まだ潜在しているいじめが多いということになる。
逆の考え方をする人もいるだろうが,それは本質が見えていない。
すなわち,件数の少ない県は,教員の指導が行き届いていて,いじめそのものが発生していないのだから,むしろお手本にすべきであるというのだ。

ンなわけないって。

どれだけ教員や家庭や地域ぐるみで取り組んでも,必ずいじめは一定の割合で発生する。
そういう認識をもつべきなのだ。
これは,人間という動物が人間である前に動物であるということ。
何か,自分と違う者を排除しようという本能。
自分より劣る者を劣っているままにし,自分が優位であることを誇示する本能。
集団から離れたくない本能。
いじめられたくない本能。
などなど,知性や理性などとは別の次元でいじめは発生する。

だから,発生そのものを防ぐことはできないが,発生したことにすぐに気づいて手を打てばエスカレートしないですむのである。

ある意味,地震の防災に似ている。
地震の発生そのものは防ぐことができないが,緊急地震速報などで事前にわかれば,新幹線にブレーキをかけるとか,あらかじめ耐震性のない建物とわかっていれば補強するくらいのことができるので,大事故が防げる場合がある。

とはいえ,教員の中でも,いじめにすぐに気づく人とそうでない人がいる。
気づかないというより気づけないのである。
そういう教員は,しかるべき研修をうけることで気づけるようになる可能性がある。
近年,いじめ件数が急増しているのは,そのような研修の結果,今まで気づけなかった教員が気づく事例が増えたとみてよいのだ。

気づける教員が増えるのはよいことだ。
いじめを目撃した児童生徒が先生に報告してくれたとする。
今までの気づけない先生だと,それをいじめと認識せずに,喧嘩とかいざこざの範疇に収めてしまうだろう。
せっかく報告してくれた生徒も,いじめと認識してくれないのなら,もう2度と先生に報告しなくなる。


さて,いじめの対象となる生徒は全くランダムに選ばれるのだろうか。
そんなわけないのだ。

いじめは十中八九,いじめられる側に原因がある。

おっと,また言ってはいけないことを・・・

でも事実なので書いておく。

あたりまえでしょう。
いじめる側からすると,気に入らないことがあるからいじめる。
何か自分たちとは違うからいじめるのである。
その違いとは何か。
それは,「反応」だ。

あることをしたときに,その児童生徒がどう反応するか。
それがいじめる側の期待する普通の反応と違うからいじめられるのだ。
その違った反応の多くは,いわゆる発達障害から来る場合が多い。
何気ない普段の行動の中で,普通はこのような解釈をして,このような行動をするだろうという予測のもとに児童生徒もすごしている。
それが大きく裏切られたとき,その相手を攻撃したくなるのだ。

教員がいじめをみつけた場合,どのように対処するか。
きちっと対処できている例は少ないと見る。
なぜなら,学校の対応はきまって「いじめる方が悪い」のであって,「いじめられる方は悪くない」のである。
これを「いじめられる方が悪い」と少しでも言おうものなら,ほとんどの場合すごい糾弾をされて,職を失うレベルの災難となる。
だから,必ず「いじめる側」にのみ指導し,謝罪させ,小学生なら仲直りさせてシャンシャンとなる。

しかしながら,これでは何も解決せず,「いじめられる側」の普通でない反応は変わらないので,たとえば中学でもいじめられ,高校でもいじめられ,社会に出てもいじめられることになる。

そう,いじめられる側がどうしていじめられるかを認識して,各自の物事のとらえ方,リアクションの方法を改善しない限り,同様のことがその生徒の周囲にいつも発生してしまうのである。
その根本原因が何らかの病名がすぐにつく発達障害のケースが非常に多いといえる。
わかりにくいが軽度の発達障害である場合が残りの大部分。
通常の児童生徒で,どういうわけか運悪くいじめられるというのはほとんどないのではないか。

つまり,もしも自分あるいは自分の子供がいじめられるのであれば,何らかの発達障害を疑った方がよい。
親御さんにとっては受け入れ難い面もあろうが,それをしっかり認識せずに,一方的にいじめた側やそれを放置した学校を責めるだけに終始すれば,やがて再び必ずいじめられる。
根本的な解決にはまずならないのである。

親御さんとしての心配は2つ。
1つ目は自分の子がいじめる側になるのではないか。
そして,2つ目は自分の子がいじめられる側になるのではないか。

前者は,ほぼ必ず普通に学校生活をしていれば誰かをいじめている。
これには,いじめている者を制止せずに,一緒に見て笑っているというのも含まれるので,ほぼ間違いなく加担しているハズ。
後者,すなわちいじめられる側になるかどうか。
これは,通常はほとんどない。
他の者と比べて特に変わった反応をするからいじめられる。
おそらく,育ててきた親ならすでに気づいているはず。
ウチの子,ちょっと変わっていると思えば,おそらく何らかのいじめを受けていると思ってまちがいない。
本人や学校に聞いて,そのような事実がないとなっても,彼らに認識できていないだけ,あるいは親に内緒にしたいだけで,実際はある可能性が高いのだ。

そのいじめをなくすには,当事者の行動を意識して変えるしかないが,一般的に小中学生にそのようなコントロールをするのは難しいのである。
高校生以上になってくると,少しはコントロールできるようになってくる。
だから,トラブルは減少させることができる。




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