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尾崎塾
富田教室

[2014年12月28日]

目先の入試だけを考えない

10月から塾に来ている中3の生徒が五ツ木のテストを見せてくれました。
(塾ではVもしをやっているが、それに加えて五ツ木のテストも受ける生徒もいる。)

img1
この生徒の場合、4回=9月(入塾前)6回=11月(入塾1ヶ月)に比べて、7回=12月の偏差値が飛躍的に伸びているように見えます。

塾に入って1ヶ月ではまだ何も定着していないので偏差値は上がらず、2ヶ月くらい経った12月にやっと成果が出たとも見えます。
何事もやり始めはぎこちないので、慣れてきたころに成果がでることはありえますが、実際、勉強の成果というのは原理的にそういうものなのです。

これは以前にも書いたのですが、たとえば4択問題で、何も知らない人が選ぶと正解率は25%になります。
でも、4つのうちの1つだけをよく知っているとしても、これは正解率が25%のままなのです。


例題1 赤いものを1つ選べ
ばなな みかん いちご パイナップル 

例題2 赤いものを1つ選べ
サファイア ルビー エメラルド カヤナイト 

例題3 共通の元素をもたないものを1つ選べ
スピネル ルビー マスコバイト ガレナ 


例題1は、この中で赤いものといえば「いちご」でよいでしょう。

例題2も同じ質問ですが、正解してますね?
赤いのはルビーです。

では例題3はどうですか?
ルビーは知ってるけど、他の名前は「はじめまして」ですね。

ヒント!
ルビーの化学組成はAl2O3です。
アルミニウム:酸素が2:3の割合で化合しています。

どうですか?

ルビーについて、いくら詳しく知っていても、他の3つの鉱物の化学組成がわからなければこの例題3の正解率は25%でしかないのです。

これが、勉強をはじめてもすぐには成績が伸びない原因です。
ある程度の知識の蓄積がなされてくると、だんだん正答率が上がってきます。


さて、最初の生徒の偏差値にもどりますが、この生徒は本当に社会科の知識がゼロに近い状態でした。
ですから、当然最初は4つに1つも知らない状態だったのです。
それが2ヶ月くらい勉強を続けているうちに成績が伸びるようになったというわけですね。


この生徒、第一志望校はなんと英数国の3教科入試です。
ということは、理科や社会は全く勉強しなくても合格できるはずです。
でも、ウチの塾では今も理科と社会をきっちりとやらせています。
ひょっとすると、本人や保護者の希望だけを聞くと英数国だけの指導をして欲しいと言うかもしれません。
ところが、ウチの塾では保護者・生徒の希望を聞かない場合があるのです。
つまり、保護者・生徒は目先の入試合格だけを考えがちです。
ところが、その先の人生において、理科や社会の素養がなくて大丈夫かというとそうではないのです。

入試ということ1つとっても、大学入試の英文や現代文にはよく歴史やサイエンスの題材が使われます。
もちろん、そんなに専門的な知識は必要ないでしょうが、最低限中学校で習う程度の事柄は、出題する側としては常識的に知っていることを前提にするはずです。
そういうレベルで読解に支障をきたすほど理科社会ができないのは放置しておいてはいけないのです。

そのような先を見据えた勉強をさせることもウチの塾の非常識なところです。
目先の合格だけを考えず、もっと大切なベースをつくることも考慮しているのです。

そして、ベースを作っておいて、本当に直前期には科目を絞って演習させることになります。

そのあたりのバランスの取り方が重要だと考えています。






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