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尾崎塾
富田教室

[2015年2月5日]

国公立大の倍率の意味

新聞に昨日の国公立大学志願状況が載っています。
img1 全体の倍率が4.5倍とか書いてありますが,新聞やテレビの報道は全く無視した方がいいです。


倍率は単純にその学部や学科の志願者数÷募集人員です。

これは,入りやすさとは全く関係ありません。

入れそうかどうかは,昨年の過去問をやってみて,昨年の合格最低点をクリアできそうかどうか。
それだけです。
もちろん,今年は同じ問題が出るわけでもなく,傾向が若干変わる可能性はありますが,昨年の問題で100点も足りないようだったらまず無理。
昨年の最低点と同じくらいなら五分五分の勝負だと考えてほぼ間違いない。
大学のレベルなど,年によってそんなに大きく変化しないのです。

倍率が10倍でも5倍でも,昨年のレベルを楽にクリアできそうならまず合格します。
倍率が1.1倍でも全く合格できないレベルの人が10人に1人いるのです。
記念受験とかの人は合格しません。

とはいえ,例年とほぼ同じレベルで,倍率が急に上がっている場合は,例年よりも少し合格ラインがあがるでしょう。
過去問でぎりぎりの人は可能性が50%だったのが45%に下がるという程度の変化はあるでしょう。
かといって,倍率が下がって油断してはダメです。
倍率が高くなると気を引き締めるし,下がると油断する。
結局,そういうメンタル面に左右される受験生が多いので,倍率などを気にせずに,解ける問題を増やすことに集中したほうがよいという話。


で,倍率が合否と関係ない理由。

さっき書いたとおり,志願者数を募集定員で割っているからです。
合格資格のある受験者数を合格者数で割らないと実質的な意味が全くありません。
これを実質倍率といいます。
今日,新聞に載っているのは名目倍率といって,本当に意味のない数字です。

どういうことかというと,志願者が全員受験するとは限らないのです。
特に注意するのは後期日程。
前期で合格した受験生は,合格した前期の大学に入学手続きをすると後期の合格者とはなれないのでしたね。
つまり,前期で合格した受験生はほとんど後期は受けませんし,受けても合格者とはなれません。
ライバルはかなり減るのです。
さて,前期と後期の募集定員比はどれくらいかというと,およそ4:1です。
多くの受験生は前期で合格します。
のこりの20%のせまい枠に同じ数の志願者がいれば,それだけで倍率は4倍増えます。
前期募集100人,志願者300人としましょう。
後期募集25人で,同じ志願者300人なら倍率は12倍!
前期に3倍だった学部が後期は12倍というのは普通に起こります。
ところが,その前期で合格した人は受けないのですから,単純に
後期の志願者は100人減ります。
25人の枠を実質200人で争うので実質倍率は8倍となります。

実際は他大学受験生との出入りがあるのですが,原理的にはそういうこと。

もうひとつ,募集定員=合格者数ではないという点。
たとえば,後期日程は,中期日程の合格者とのダブル合格者が考えられます。
これは大学の判断ですが,その分多く合格者を出さないと募集定員を埋められません。
同じことが中期日程の合格者にも言えます。
たとえば,中期日程の大阪府立大学工学域は,新聞によると10倍の高倍率です。
しかし,実際は募集定員の2倍ほどの合格者を出しているので,実質倍率は約5倍となるのです。

この5倍となっている上にさらに前期で阪大や京大に合格した人は志願者ではあっても合格者にはならないので,実質倍率はさらに下がります。

このように,倍率を見てどうのこうの言ってもそれは合格しやすいかどうかとはかけ離れる場合があり,そんなことは気にせずに,問題を解ける能力を養うことに専心するのが吉となるのです。



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