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尾崎塾
富田教室

[2015年2月8日]

振替授業をしない理由

多くの塾では,生徒の都合に合わせて授業の振り替えをしているようだ。
今日は部活が遅くなったので,授業を明後日に変更するとかが振り替え。

ウチの塾では,規約にも明記してあるように,原則として振り替えはしていない。

理由は,よく理解して欲しいのだが,振替をしても生徒の学力が高くならないから。
むしろ,低くなる方向へ向かうからだ。

もしも,それで学力が高くなるなら,ウチの塾はその方法を選ぶ。
ウチの塾のルールはわかりやすい。
コンセプトはすべて本当に生徒のためになるのかどうかだ。
決して,世間の他の塾がそうしているとか,パッと見はなんとなくその方がお得感があるとか,そういうことではルールを決めていないのである。

では,学校行事で振替OKとすればどうなるか。
いつも,月水金の18時からのコマを受講しているとする。
水曜日に,文化祭の準備で残されるので振替してくれと言ってくる。
はいどーぞと,たとえば,土曜日の18時に入れるとしよう。
確かに,水曜日の授業が土曜日に移動して,授業のコマを1つも損しなかったとなる。
めでたしめでたし。

ほんとうにおめでたい話である。

そのことによって,その生徒の学力が増えるのか?

聞くが,その生徒はもしも振替がなかった場合の土曜日18時に何をしているのだ?
ゲームして遊んでる?
もしもそうなら,どーせ遊んでる時間に単純に振替たところで別に問題ない。
水曜日の分が土曜日に移動しただけ。

さて,振替した場合としない場合,どちらの学力が上がっているのか?

どっちだ?

同じとお考えのあなた,頭悪いです!


しない方がいいに決まってる。

同じ内容をやるにしても,3日前にマスターしているのと3日遅れてマスターするのでは,遅れる方が不利だ。
仮に水曜日にやった内容が木曜か金曜のどこかで出てくることがある。
たとえば,水曜日に外国為替などの勉強をして,次の日のニュースを見ていると円安とかの話になっていたりする。
あっ,コレ昨日やったやつだ,ということで,実際の世の中とリンクしてどんどん他のこととつなげて覚えていけるのだ。
先に勉強できる機会を後ろに送るのは,全く得策ではないのだ。
これはチャンスロスという考え方にも通じる。
本来,さらに高い学力を得ることができるチャンスを失っているということだ。

これだけだと,微々たることのように思うかもしれない。

学力が上がらないのは,そういう理由だけではないのだ。

気持ちの問題。

たとえば,文化祭の準備が18時までかかったら塾は間に合わない。
だが,17時半に終えたらダッシュで間に合うだろう。
私なら,自分がリーダーシップをとって17時半に終わらせる。
そして,ちゃんと塾に行く。
あるいは,他の仕事を先に済ませておいて,「ごめん,オレ塾あるので今日は先に帰らせてくれ〜」と言って帰る。
ポイントは,他の奴より仕事をたくさんやっておくことだ。
あいつは,いつもたくさんやってくれているので,先に帰ってもOKという実績をつくっておけばいい。
こういう調整能力を身に付けられるのが学校行事の最大の教育効果だともいえる。

img1
それが,いつも振替ができると思っていて,しかもチャンスロスの概念もないと,べつに18時になってもいいやと思ってしまう。
そして,だらだらと文化祭の準備をして,本来その日にできるハズの勉強をフイにしてしまうのである。

これは勉強に対する意識の低い生徒での場合。

意識が高い場合は,もっとロスが大きいことにお気づきか?

そう,ちゃんとやってる受験生なら,その振替先の土曜日にゲームして遊んでるわけないのだ。
その時間には,別の学習予定が入っている。
その勉強をキャンセルして,振り替えた授業が飛んでくるのだ。
土曜日の学力向上の機会が全く吹っ飛んでしまって,チャンスロスもいいところ。
こういうことを年間に何回も繰り返していると,本来勉強しているハズの時間が,学校行事のダラダラとした準備にどんどん振り替えられていくのだ。

時間は無限にはないのである。
うまく調整して,行事も塾も,あるいは友達づきあいもやらないといけない。
塾で振替があることで,そういう調整能力を身に付けるチャンスさえ失っているのである。
時間調整能力は社会に出て必須のことだ。
授業振替のある塾が,本当にこの世の中の役に立とうとしているのか,はなはだ疑問なのである。


ウチの塾では,例外的に,忌引きと修学旅行のみ振替をしている。
前者はない方がいいが,仕方のないことである。
修学旅行は,急いで来ようとしても,大阪にいないのでは無理。調整能力を発揮しようがないし,あらかじめ年間予定でわかっているのだから対処できる内容だからだ。
これらの振替をしているので,文化祭やその他の行事で問い合わせてくる塾生・保護者が時々いる。よーく理解してもらいたいので,本稿を書いている。

学校の部活がらみは,ほぼ振替していない。(その活動で進学〜就職まで考えている場合は振替している)
部活など,よく考えて入らないと人生を無茶苦茶にされる。
顧問の自己満足のために練習しすぎの部活には要注意だし,それを支援するような振替など,絶対にしない。

学校の伝統行事のようなものもある。多くの場合,任意参加なので,それと塾をてんびんにかけて選んでもらいたいので振替はしない。
どういうことか。
塾の1コマが2000円としよう。その行事は2000円を失っても余りある価値があるかどうかを判断して欲しいのだ。
値打ちがあるならそちらをとればいい。
もしも塾が振替可能だとすれば(ほんとうはチャンスロスがあるのだが),0円と比べるわけで,行事に10円でも価値があると思えば行事をとってしまう。100円程度の値打ちの行事なら参加しなくてもいいと思うのだ。
大切な塾を休んででも参加する値打ちのある伝統行事はぜひ参加すればいい。

だいたい,多くの学校行事で,生徒を強制的に午後5時以降まで残らせるというのはありえない。
ウチの塾だけ振替をしないのかもしれず,他の多くの生徒は塾があっても損した自覚はないのかもしれない。だから,行事を組む教員サイドも生徒の都合を考えるということをしなくなっているのかもしれない。
しかし,他に塾よりももっと高額の習い事をしている生徒もいるだろう。そういう損失を学校は支払う覚悟があるのか?
あるわけない。
基本的に,普段よりも長時間の生徒拘束はできないはずなのだ。
だから,塾にはちゃんと来られるはずというのが基本線となる。


ウチの塾も,多くの塾のように何でも振替していいよとすれば,こんな楽なことはない。
つまり,ウチの塾は振替がめんどうだからやっていないのではない。
むしろ逆で,振替をした方が,いちいちこんな説明しなくてすむし,楽なのだ。
だいたい,他の塾では,振替可能を「売り文句」にしているではないか。
その方が,世の中の無知な保護者・生徒の集客にはよいのだろう。
対応が楽で,集客もできる。
塾のための振替制度なのだ。

振り替えがないから,部活や学校行事の都合をつけて,頑張って来るということ。
そうすることで,学力が上がる方向に行動する習慣がつくということ。
このことを大切に思うからこそ,ウチの塾はめんどうでも,振替しないというルールを適用しているのである。


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