[2015年2月17日]
コンシェルジュの阿部佳さんがプロフェッショナルに出ていた。
簡単に言うとホテルの案内役だが,一流ホテルともなると,客がどのような場所に行きたいのかを汲み取って,本当に喜んでいただけるような接客案内ができないといけない。
ところが,ひととおりの案内ができるようになった部下が,イマイチな仕事しかしない。
無難な選択ばかりするようになってしまうというのだ。
たとえば,外国人がどこかいい観光地を紹介してくれと言うと,みんなが行くような浅草を紹介してしまうといった感じ。
これを見て,世の中の多くの(ほとんどのと言ってよい)進路指導がまさにこのような状態だと思ったわけ。
公立中学校の進路指導は,成績順に北野,茨木,春日丘,三島と判で押したような順番。
特色のある千里や槻の木は,生徒が希望すれば前年の生徒の成績と比較して,その生徒を見るのではなく,その点数だけ見て,いけるとかいけないとかの心のこもらない指導ばかり。
高校も同じ。
どの大学の内容がその生徒に合うとか合わないとか,将来につながるとかつながらないとか全く考えずに,というか考える材料を持っていないので模試の判定しか見ずに指導する。
そんな先生ばかりだ。
塾の指導など,もっとひどいに決まっている。
合格者数をえさに生徒を集めるしか頭にないので,とにかく曲がった進路指導になりがちだ。
経営の危ない塾など,とにかく目先の小銭をかせぐので精一杯で,生徒に応じた教育など不可能。
毎年,教材を1から選定して,少しでも今年の生徒よりもよい内容にしようなどと,考える塾はほとんどないのではないか。
この教材は,もっと上位層にも使えそうだとか,逆に下位層でも食いつけるとか。
あるいは,ここの部分だけ切り離すとこの層にぴったりだとか,研究の余地はいくらでもある。
さらに,現状の生徒に合わせた手作り教材を用いるなど,普通の塾はコスト的につりあわないのでやらないだろう。
コストというか,能力的にという部分もあるだろう。
コンシェルジュも結局はそうで,阿部さんは珍しくちゃんとできる人だからTVに出るわけだ。
普通は,能力の足りない人にあたりさわりのない案内をされて,それでおしまい。
しかし,有能なコンシェルジュのように,本当に喜ばれる仕事内容を追求しないと,何のために仕事しているかわからない。
飯を食うために仕事をするのではなく,いい仕事をするから,その対価としてちゃんとしたお給料をもらえるのだ。
この原則から一歩も逃げてはいけない。
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