[2015年9月24日]
駅の本屋でふと目に留まった本。
曽野綾子さんの「人間の分際」
分際はぶんざいと読む。
昔,時代劇などで武士が町民に向かって「町民の分際で,」と言っていたように,「てめぇーらみたいな低い身分の奴にそんな権利ないんだよっ!」って見下した時に使う言葉が「分際」だ。
それが,「人間の分際」なのだから,人類全員に対する警鐘みたいな話か。
まあ,中身を見てみると,ようするに曽野綾子さんの名言集みたいなもの。
長い人生経験で得た,人間の本質について書いてある哲学書と言ってもよさそうだ。
その中で,「やればできる」というのは,実はまやかしで,ほとんど全てのことについて,人間には限界があって,やってもできないことがあるというのだ。
つまり,YDK=ヤレバデキルコというのはごく稀な子であって,多くの子はYDNK=ヤッテモデキナイコだというのである。
これは確かに核心をついている。
だいたい,多くの子はやってもやっても東大に入れるくらいの学力にはなかなかならない。
理屈を言えば,仮に全員がメキメキ学力アップしても,大学には定員があるので,どうしても合格できない受験生がでてくるわけだし。
努力を頑張ってやれば必ず報われるなどというのは全くの幻想なのだ。
だからといって,筆者は努力することが無駄だとか悲観論を展開するわけではない。
何に価値を見出し,いかに幸福な人生を歩むかのヒントになるような人間論を展開しているのである。
受験生をかかえている親御さんはつい視野がせまくなって,我が子の本当の幸せが何かを見失いがちになる。
そういう時にちらっと読んでみてはいかがだろうか。
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