[2015年10月7日]
スウェーデン王立科学アカデミーは6日、今年のノーベル物理学賞を、東京大宇宙線研究所長の梶田隆章教授(56)ら2氏に贈ると発表した。梶田さんは岐阜県にある装置「スーパーカミオカンデ」で素粒子ニュートリノを観測、「ニュートリノ振動」という現象を初めてとらえ、重さ(質量)がないとされていたニュートリノに重さがあることを証明した。(朝日)
連日のノーベル賞受賞のニュースだが,このニュートリノに関する受賞については,他の研究と違って,私自身,特別な「思い」を持っています。
実は,この梶田さんの研究室に,茨木高校時代に軟庭をいっしょにやっていた友人(金行くんといいます)がいて,まさにその研究をやっていたのです。
上の列の真ん中が金行くん
彼は,30歳代でそこの助教授になっていましたから,相当に優秀だったわけで,少なくとも梶田さんの研究にかなり深くかかわっていたはずです。
本当に優秀な人でした。
私と比べるのもあれですが,彼はもちろん物理を得意としていました。
高3の夏に,私はやっと物理がわかってきて,夏休み明けの校内実力テストで会心の出来=94点を取ることができました。
「ひょっとして,金行くんに勝ったかもしれない!」
そう思った私は,すぐに彼の点数を聞きに行きました。
彼の答は・・・・
「97」
そういうわけで,こいつには一生勝てないと心の底から思いました。
(部室で毎日やっていたナポレオンではいい勝負だったのですが・・・)
彼の実力からすると,東大でも京大でも十分に合格する力がありました。
ところが,どういうわけか湯川秀樹さんが中間子の研究をしてノーベル賞をとった伝統のある阪大の理学部へ進んだのです。
そして,大学を出たころに,ちょうどカミオカンデのプロジェクトが進行しており,彼は岐阜の山中でのニュートリノ研究へと進んでいきました。
まちがいなくニュートリノ研究の第一人者の一人であった彼と最後に会ったのは,10年ほど前の同窓会でした。
高校時代と変わらない彼の様子を思い出します。
人間の運命は,わからないもので,彼の訃報を聞いたのは5年前。
「えっ?どういうこと?」
仲間の一人がニュートリノ研究室に問い合わせたところ,彼が体調をくずして,おそらくガンでということをご丁寧に教えて下さったそうです。
その様子を教えて下さった方が,研究室長の方すなわち今回受賞された梶田隆章さんだったのです。
梶田さんがテレビでもおっしゃっていましたが,こういう賞は一人で受賞できるものでは絶対にないし,私の友人である金行くんの功績が大きな部分を占めているに違いありません。
そういう意味で,今回の受賞は私の友人の受賞でもあります。
「金行くん,ノーベル賞おめでとう。」
そう声をかけてあげたいと思います。
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