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尾崎塾
富田教室

[2015年10月26日]

科研費の改革

文部科学省は大学や国立研究開発法人、企業などの研究者を対象にした最大の競争的資金である「科学研究費補助事業」(科研費)を2018年度から抜本改革する。挑戦的で独創的な研究課題を支援し、研究の国際競争力を高めるため、細かく分かれ過ぎた審査分野を大くくりにするなど審査の仕組みを見直す。科研費はこれまでノーベル賞につながる研究などを支えてきたが、予算の伸びは頭打ちで短期・安定志向の申請も増えているため改革に踏み切る。
(日本経済新聞)
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という記事だが,この科研費というのは一般の人には馴染みが薄いと思われる。
ところが,大学で何かの研究をしようとすると,この資金を使えるかどうかが大問題なのだ。

記事に書いてあるように,「最大の競争的資金」つまり,多額の研究費を競って取り合うのだ。
競うのはもちろん研究の中身であって,かなり厳しく審査される。
3〜4人に一人しか当たらない。

それで,この資金をいくらもらえているかが,結局は優れた研究を多くやっているということとイコールなのだ。

大学ランキングで,科研費のランキングがあるが,これを見れば一目瞭然。
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科研費ランキングがそのまま研究レベルの高い順になる。
突出して多いのは東大で,続いて京大,阪大,東北大,名大,九大,北大と,実に上位7大学は旧帝大ということだ。
以下,
東工大,筑波大と来て,10位にやっと私立の慶応大が入る。
11位以下は,
広島大,神戸大,早稲田大,千葉大,岡山大,熊本大と地方の国立大に1つ早稲田が入ってくる。

これを見て,ああ慶応や早稲田は国立の上位に食い込んでいてすばらしいと思うなかれ。
大学の教員や学生の数を考えると,私立マンモス大の一人あたりの研究費はぐーんと下がる。
甘く見て半額とすれば,20位の長崎大や徳島大とあまり変わらない程度の実力なのだ。

それを,慶応や早稲田の人はあろうことか,地方の国立大はおろか,へたすると阪大と肩を並べている気分でいるから始末に負えない。
文系のあまり科研費を使わない領域の人はそれでいいかもしれないが,こと理系の研究については,国立大が圧倒的に優れた研究を行っていることがわかるのだ。

この科研費をゲットしようとしない者は研究者失格というのは,かなり的を得ている。
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将来ちゃんとした研究をしたいと思っている高校生は,科研費ランキングを大学選びの参考にしてよいだろう。

その科研費の改革というのが冒頭に示した記事。

昨今は,大学の教員も採用期限が短くなっていて,たとえば3年以内に一定の成果を出さないとクビになったりする。
すると,科研費に申請してくる内容が,短期間で成果の出そうなものに偏ってしまう。
そこで,本当にじっくりと独創的な研究をして,将来的にノーベル賞を取るようなものに科研費を配分できるように改革しようという趣旨のようだ。
これは歓迎すべきことで,ぜひうまく改革が進むとよいと思う。


ちなみに,もう15年も前になるが,高校の教員でありながら科研費をもらって研究していたことがある。
ちゃんとした研究であれば,大学や研究所の人でなくとも公正に割り振ってもらえるのが科研費なのだ。

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北米フランシスカン帯カザデロ地域の温度−圧力−変形履歴の解明


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