[2015年12月1日]
昨日,とあるお母様から問い合わせ電話があった。(一部脚色)
トゥルルルッ
塾長「はい,○○塾です」
お母様「おたくは朝からやってるそうですが,6時から21時までずーっとやってますか?」
塾長「はい,まあ,でも,何年生ですか?」
お母様「中2ざます」
塾長「中学生ですと,朝7時半までやって,学校に行きますが・・・」
お母様「実はいじめに遭ってて,学校に行かないので,そちらで過ごせるかと・・・SNSで中傷されるなどの被害でして,学校に対応してもらってるざます。今登校すると危険なので,緊急避難的に登校しない状態ざます。3学期には復帰できるようになる予定ざます。それまで,朝に登校する習慣を保ちたいざます。朝から過ごせるようなところをさがしているでござる。可能でしょうかざます。」
塾長「そういうことでしたら,浪人生といっしょに過ごせるとは思いますが・・・」
ただ,いじめに遭っていて,復帰してそれでうまくいくようなカンタンなものではないだろうから,そのあたりの方向性を,私の知る限りお話ししてあげようと,いつもの親切心で提案してみたら・・・
塾長「ただ,復帰してうまくいくと楽観されているようですが,もう少し深くかかわらせていただきたいと思います。こちらもいろいろと経験があるので,いかがでしょうか・・・」
ここでしばし沈黙
お母様「・・・・・お考えのような子ではないざます!」
塾長「???いや,まだ,お子さんの様子,何もうかがっていないので,こちらがどう考えているかもまだ言ってないのですが・・・世間には決して出回らないような事例も知っていますので・・・」
お母様「お考えのような,一般的な不登校とは違うざます。おたくがどんな勉強されているか存じませんが,こちとら,京大の児童心理学の専門家がいて,その話をうかがっておりまする。さらには,精神科医の親戚もいて,おたくの知識の方が乏しいですわ。そんな風に見られるのなら,おあずけできないざます!ほなさいなら。」
塾長「はあ?もう少し謙虚になられた方がよろしいかと・・・・」
ぷつっ・・・
京大の児童心理学がどんなものか知らないが,そもそも中学生は児童でもないし。
精神科医がどんなものか知らないが,いじめについて,確たる学説があって,それをどんどん治療できるのであれば,世の中こんなにいじめで困ったりしない。
だいたい,現場の中学校でどのようなことが起こるか,学者や医者にはわからない。
こっちは,彼らよりもたくさんの事例を見聞きしているし,実際に学校現場での経験があるので,決して世間には漏れ出てこないような内実もよく知っている。
どのような生徒がどのようなことをすれば何が起こるか見当がつく。
これは,決して医者や学者が論理的に導き出した解と一致することではない。
どうやらこの親御さんは,それらの方程式解のとおりに学校を動かせば,自分の子が最適な状態で復帰でき,万事うまくいくとでも考えているかのようだった。
気の毒としか言いようがないが,きっと復帰した後にさらなる大問題が続き,状態は悪化しこそすれ,良くはならない。
学校に対して,そのような対応の仕方をすればどのようになるか思い知ることになる。
学校の先生方は,基本的には非常に親身になってやってくれるのだ。
それを,学者や医者の指示どおりにやってくださいザマスと言われた日には,
「ああ,そうですか,その通りやりますけど,いいですね?本当にその通りにやりますよ。やればいいのでしょ?完璧にやりますよ?いいですね?もし,それでどうなっても文句いわないでくださいよ!」
という対応になってしまうのだ。
学校の先生は,現場をよく知っているので,学者の絵に描いた餅のようにはいかないことを知っているのだ。
そして,お任せしておけば,おそらく最良の対応をしてくださっていたのに・・・
いらないことを要求したばっかりに,自分の子がさらに悪い状況に置かれ,そして,その怒りの矛先を向ける場所がなくなってしまう。
当事者の親の心理もわからなくはないが,知り合いにすごい学者や医者がいたばっかりに,どんどんこじれさせてしまうのではないかと心配する次第。
昨日の人,もうウチの塾には用がないのでこのブログを読まないだろうが,もしも読んでおられたら,さらにブチ切れるだろうが,再考されるきっかけになればと思い,記した。
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