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尾崎塾
富田教室

[2016年1月5日]

教科書採択のウラ話

三省堂や数研が学校の先生を接待していた件。

まあ他の出版社も同様のことをしているに違いないし,現実に現場の教員と教科書会社が接触しないのも不都合なわけだからルール変更という話が出ている。
img1 せっかく良い教科書をつくっても採択されないと意味がないので,
採択される=現場の教員の意見を反映している
ということなら,教科書会社は現場の先生方とうまく意見交換するしかないのだ。


私も某社の教科書の校正をしたことがあるが,年末に盛大なパーティーが開催されて驚いたことがある。
そういう接待をして,この会社とかかわっていたら「おいしいこと」があると現場の先生方に思っていただかないといけないのだろう。

そういうことで,過度な接待がエスカレートするといけないので,全面禁止みたいなルールになり,それでは不都合なのでちょっとだけよ・・・とかなりめんどうなことになっているのがこの業界。

もう少し内実を書くと,公立学校は教育委員会の選定委員が選定するが,その選定委員の専門外の科目もあるので,教科ごとに諮問委員会をつくって検討させる。
その委員会はもっと現場に近い人に実際のところを聞き取って調査するといった階層構造になっている。
まあ,だいたい現場の先生の使いやすいものが選ばれる方向になるので,やはり本当に使いやすく,現場の先生に評価されるものが採択されやすいといえる。

一方,私立学校はどうか。
これは,学校によってちがうので,教科書会社もたいへんだ。
とにかくその学校に入り込んで仲良しの先生をつくって聞き出すしかない。
ちゃんとした検討委員会があるのかないのか。
教科会議で決まるのか。
あるいは,一部の先生の一存で決まるのか。
さらには,カリキュラム変更などは日常茶飯事なので,いつ変更になって,教科書採択のタイミングがいつなのかなど,いくらでも知りたいことがあるのだ。
だから,一部の先生は教科書会社の人とこっそり仲良くしていても全然不思議ではなく,どの学校もそんな感じではないか。

ちなみに私のいた学校では,その授業の担当者が「俺は絶対にこの教科書!」とゴリ押しすればそれが採択されるという感じだったので,私立学校の方が教科書会社としてはなんとかできる余地が多かったのだろう。職員室にはいつも教科書会社の人がウロウロしていろんな情報を持ってきてくれていた。

そして,これはいけないことになっている発刊前の教科書をこっそり見せてくれたりするのだ。
この本は,もちろん外から見たら教科書とはわからないように,表紙が真っ白で,業界用語では「白表紙」の本と呼ばれている。
その内容が良いとなれば,学校での採択を早く決めてもらえるかもしれないから,こういう慣習はなくなりそうもない。
今も特に私立学校ではそういう白い本が指導要領改訂時期の先生の机の中にしまわれているのである。






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